少し時間がかかってしまいましたが、宮部みゆきさんの作家生活30周年記念に書かれた、長編時代小説の傑作・・・の文庫化された作品をようやく読み終わりました!!
時間がかかってしまった原因は、電車に乗るのが10分くらいの通勤時だけなのと、文庫で3冊に渡っている“長編”だから。
今回のストーリーもなかなか凄いのですが、
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江戸時代のとある架空の藩が舞台となっている、サイコ&ミステリー仕立てになっているストーリーです。
最初は、乱心してしまったまだ若い藩主“重興”にまつわる謎と、藩の中で父がお勤めしていた頃に何か関わりがあったのか?
すでに隠居の身であった父“各務数右衛門”を頼ってきたのは?
その父と共に暮らしていた“多紀”が、目まぐるしく藩の謎に迫り巻き込まれていくのですが・・・
他にもこの謎に巻き込まれていくのが、かつての江戸家老を務めていた“石野織部”そして、藩医の白田家の次男の“白田登”先生、そしてその舞台となる“五香苑”で下働きをする人達。
すべてのキャラクターもとっても丁寧に、魅力的に描かれています。
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しきたりや、身分の違いなどは江戸時代のものではあるのですが、それを超越する謎に向き合う人々の立場ごとの思いや、考え方の違いなどがとっても面白く描写されています。
現代ではないからこその不可思議な謎でもあるのでしょうが、その当時をもちろん知らないわたしが読んでいても、察するものがあるその時代の雰囲気を感じるのも、やっぱり宮部みゆきさんならではの上手さなんでしょうねぇ~。
乱心して藩主の座から退いた“重興”ですが、その因縁は父親である五代藩主“北見成興”にあるのか?
“重興”は今でいうなら多重人格ってことなのか?
それが、“石野織部”や主治医“白田先生”そして“多紀”の登場でわずかづつではあるが、心を閉ざしていたものがゆっくり開こうとしていきます。
もう本当に、どっぷりとお話の中に引き込まれてしまうほどの面白さ!!
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色々な登場人物にもイキイキとした動きや感情が感じられて、本を読んでいるのにビジュアルをイメージさせるのはやっぱりさすがです。
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わたしの中には見えたね。
この話が映像化された姿が。
“五香苑”で働く“おごう”や“お鈴”、“寒吉”をはじめ、“多紀”と実は従姉弟でもある“田島半十郎”も、
北見藩の六代藩主であった、苦悩の闇の中にいる“重興”も、お家の謎を解くためにすでに隠居の身であった“石野織部”も、藩医の次男坊で少し身軽な“白田登”も、
物語りが進むにつれて登場してくる、筆頭家老“脇坂”が派遣してきた“栗木”や、悲しい歴史を抱えた“出土村”にほど近い“コナラ村”から来た“金一”も
どの登場人物もみんなわかりやすく、しっかりと明確なキャラクターに仕上がっているんです。
そしてストーリーが進むにつれて変化していく心の動きも、細やかな描写でもう面白過ぎです。
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きっとこのコロナ騒ぎが落ち着いて、経済活動が復活して、ドラマや映画の撮影が普通にできるようになってきたら・・・
ぜひ、映像化してもっともっと人気が出て、たくさんの人に注目される作品になって欲しいと願っています♪
あしたは・・・ってことで、熱く語ってきましたが、所詮は文庫化されるまで購入を見送っているくらいの宮部みゆきファンってことで、サラッとスルーしてくださいませ。。。
相変わらず外食ができないわたしは、またなんか作ってみたりしているので、ちょっとご紹介させていただこうと思っています。