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カテゴリ:食べ物シリーズ
【3月2日・月曜日】 日曜日の昼少し前、レイラがやってきた。 「カセー、塩鮭持って来たよ~。彼氏の案内したお客さんが、お土産に1匹持って来てくれたんだってさ。半分あげる。ロシアから産地直送だよ」 弁当箱のようなヨーグルトの空き容器に、塩鮭の半身が3つに切られて入っていた。レイラの彼氏はトルコ人だが、ロシア語の観光ガイドである。いまトルコは、ロシアからの観光客で賑わっている。 塩鮭を土産に持ってくるツーリストなんて初耳。でもよく見ると塩鮭というほど塩が利いている風でもないので、もう少し塩を振ったのだった。 ところが私は昼からテレビ関係の事前調整で外出しなければならなかったので、夜7時頃を目安にレイラに連絡を入れて夕飯を一緒にしようと言うことになった。レイラはその間に、同じ会社で働く韓国人の若い女性と昼を食べる約束をしたようだ。 私の用事は早めに終わり、一旦家に戻って猫の餌のマカロニを茹で始めたとき、去年まで東京で娘のV子と同じトルコ会社に働いていた青年セルカン君から携帯メールがきた。 「夕方タキシムに行きます。お時間があればお会いしたいのですが」という。私は携帯メールが不得手なので、電話をかけて会う約束をした。 5時半過ぎにジハンギルのカフェテリアで会い、生ビールで乾杯した。セルカン君は去年の11月22日、V子が日本に帰った日に空港まで一緒に見送りに行ってくれたので、その帰りに前夜の嵐で転覆したカラキョイ埠頭を見に行くのを付き合って貰った人である。 そんな思い出話に話が弾み、気がつくともう7時を回っていた。名残惜しいがまた会う約束をして席を立った。 約束どおりレイラに電話を入れてみると電源が切れていたので、留守電に待っているからと言い残して家に戻った。 その後何度かけてもずっと電源オフ、家の電話にかけても応答がないので何かあったのかとふと心配になった。そのまま夜が更けて、塩鮭の夕食はとうとう実現しなかった。 今朝になってようやく電話が繋がり、事情がわかった。レイラの友人は若い娘ながら大酒豪で、レイラの家で昼間からビール、ワインをチャンポンに飲んだという。 その友人のほうはレイラの3倍も飲んでいるのにシラーッとして夕方帰って行き、レイラは彼女を送り出した途端にサロンに「ぶっ倒れて」そのまま明け方まで目が覚めなかったのだそうだ。 携帯電話も彼女が倒れたときに床に投げ出され、電話機が壊れてしまったという。道理で全然通じなかったわけである。 ロシア土産の鮭の切り身、ほうれん草のおひたし、平茸の澄まし汁 そういうわけで、ロシアの鮭は本日に持ち越しとなった。 おととい掃除をしたのにもうサロンの床が猫部隊にさんざん汚されたので、3時過ぎから掃除機をかけようとしたらごみ袋が満杯だった。 袋を取り替えたがスペアが純正部品でなかったようで、穴の位置に装着できず、ああだ、こうだといじっているうち新しい袋を破いてしまい、そこを荷造りテープで貼り付けたり、1時間以上かかってやっと装着。暗くなってからようやく料理に取り掛かった。 レイラはわが家でビールを注ぐにもこわごわで、自分の分はほんの少々注いで飲まない算段をしている。よほどの二日酔いに違いない。 うちの娘もうわばみ姫と異名を取るほどに飲むので、けっこう武勇伝もある。先日は、目が覚めたら成田空港だったそうな(家と反対方向、しかもはるかに遠い)。おいおい。 V子もレイラも可愛いものだ。私は飲んでも酔わないので、もったいないからあまり飲まないことにしているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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