potere,volere,dovereを用いた近過去
近過去を作る場合は、ご存知のように「助動詞essere,avereの現在形+動詞の過去分詞」ですが、今日、文法書の「従属動詞dovere, potere, volereに用いられる助動詞」の項を読んでいて、「あれ、いったい今まで私はどんな言い方してたのかな???」と思わず考え込んでしまったことがありました。今日まで意識したことがなかったことなのです。というのは「従属動詞に用いられる助動詞は、その後にくる動詞の性質による。」という項の次の二つの部分。1.受動態の不定詞現在が来るときはavere。例:Anna ha voluto essere lodata dalla maestra.(アンナは先生にほめられることを望んだ。)2.従属動詞の後に不定形動詞が省略されているときはavere。 例:-Siete voluti partire? (君たちは出発したかったのだね?)-Si,abbiamo voluto!(はい、したかったです。) まず、1の場合、受動態ということを意識しすぎて雰囲気的に(つまりなんの根拠もなく)Anna e' voluta essere lodata dalla maestra.としてしまいそうです。でも書いてみると、なんかちょっとくどい感じ(essereが)もするし、今口に出して言ってみたら、無意識のうちにちゃんとavereをとって、「Anna ha voluto essere lodata dalla maestra.」といっている自分に気づきました。ということは、つまりこの言い方は、理屈で覚えたのではなく、イタリア滞在中に耳で覚えてしまっている。ということなのです。そして今日文法書でみて、初めてそのことに気づいたのです。でもこういうのって、それまで普通に喋っていたはずなのに、ある日突然「あれ、これでいいのかしら?」と疑問に思ってしまったら運の尽き、はっきり確信を得るまでは迷いに迷うことになります。イタリア人に聞いてもときどきあやふやだし。。。そんなときの頼みの綱が坂本文法ということになりますね。一方、2の場合ですが、これは微妙です。意識せずにavereをとってSiete voluti partire?の問いに-Si, abbiamo voluto.と答えていたかもしれないし、もしかしたら-Si, siamo voluti partire.とか-volevamo partire.もしくは単に-Si.とだけ言って、お茶を濁していたかもしれません。なんというおおざっぱな。。。ともあれ、そんなおおざっぱな文法の知識しかない私は、今日は文法書片手に「へええ~~!」「ふう~~~ん!」の大連発。まだまだ奥が深いイタリア文法です。因みに「従属動詞に用いられる助動詞は、その後にくる動詞の性質による。」の項に書いてあったすべてを付記します。(上記の1,2以外)3.次にくる動詞が他動詞能動態かavereをとる自動詞(つまり普通の近過去の作り方と一緒) 例:Abbiamo dovuto comprare quella macchina.(私達はあの車を買わなければならなかった)4.次にくる動詞が助動詞にessereをとる自動詞(これも普通の近過去と一緒)例:Siamo potuti partire per Bologna col treno delle due.(私達は2時の列車でボローニャに出発することができた)5.再帰動詞の場合は以下のようになる。例1:Non ha voluto alzarsi presto.例2:Non si e' voluta alzare presto.(彼女は早く起きることを望まなかった)6.次にくる動詞がたとえessereをとるものであっても、従属動詞(potere,volere,dovere)を強調するならavereをつかっても良い。例:Abbiamo dovuto partire per Bologna.(私達はボローニャに出発しなければならなかった)「以上白水社現代イタリア文法(坂本鉄男著)」からさて、6まできたところで、納得しました。つまりvolere, dovere, potereは基本的にはavereをとる性質をもってるということなんですよね(これらの動詞は次に不定詞を従えることから分類上は他動詞ということになっているのだそうです)。だから2.のようにessereをとる動詞partireが省略されてしまうと、本来のvolereの性質のみがのこり-Si,abbiamo voluto!と、avereをとるのですね。なるほど~。