ヴィクトル・エーバーハルト・グレブナーSS大尉 (Viktor Eberhard Gräbner)。
第9SS装甲師団『ホーエンシュタウフェン』第9装甲偵察大隊の大隊長
(9 SS-Panzer-Division Hohenstaufen SS-Panzer-Aufklärungs-Abteilung 9)。
連合軍のマーケット・ガーデン作戦においてアーネム市のアーネム橋上の戦いで戦死したドイツ軍SS将校。
映画「遠すぎた橋」のアーネム橋上の戦いのシーンで、ハーフトラックの車上で戦死するドイツ軍SS装甲偵察大隊の指揮官役の実在した人物。
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映画「遠すぎた橋」・ブログ第46装甲軍団
グレブナーSS大尉 は、ノルマンディーの戦いでの戦功を認められ1944年8月23日に騎士鉄十字章の授与が決定し、マーケット・ガーデン作戦が開始された9月17日に勲章が届き授与された。
部隊休養と再編のためアーネム市に駐屯していた第9SS装甲偵察大隊は、連合軍の大規模な空挺作戦の真っ只中に巻き込まれ、グレブナー部隊の40輌の装甲車、ハーフトラック等の車輌はアーネムとナイメーヘン間の連合軍空挺部隊の偵察に向かった。
グレブナーSS大尉の首許には、授与されたばかりの騎士鉄十字章を佩用(はいよう)していた。
ナイメーヘン付近で、アメリカ第82空挺師団と小規模な交戦をした。
翌18日に出発してきた後方のアーネム橋の北側を英空挺部隊に占拠されたという連絡を受けると、ナイメーヘン付近に一部の部隊を残し、グレブナーは22輌の車輌と共にアーネム市に戻り、イギリス空挺部隊を攻撃するように命じた。
グレブナーは、空挺部隊は小火器程度の武装で抵抗は弱いと判断してしまったようだ。
グレブナーの部隊は、アーネム橋を渡るときイギリス第1空挺師団の先遣隊ジョン・フロスト中佐指揮の先遣部隊の激しい攻撃を受けた。
イギリス第1空挺師団は、赤い悪魔(Red Devils)と呼ばれる精強部隊だったのに加えて、6ポンド砲や火炎放射器、PIAT(対戦車擲弾発射器)を装備していて橋上のドイツ軍車輌に猛射を加えた。
予想外のイギリス空挺部隊の攻撃にグレブナー大隊22輌の車輌は混乱に陥り、車輌12輌が撃破され、70名以上が戦死、グレブナーSS大尉も戦死した。
グレブナーは30歳で、騎士鉄十字章を授与された翌日の戦死だった。
アーネム市周辺に降下したイギリス第1空挺師団は、最終的にドイツ軍第2SS装甲軍団(第9SS装甲師団、第10SS装甲師団)の攻撃により壊滅的な損害を受け、アーネム市周辺から撤退または捕虜となった。
マーケット・ガーデン作戦の目的だったライン川を越えてドイツ領内に進撃し1944年以内に戦争を終結するという作戦は失敗に終わった。
グレブナーSS大尉の遺体はアーネム橋の近くに他のドイツ兵たちと共に埋葬されたが、詳しい記録は残されなかった。後に掘り起こされオランダの
イッセルシュタインのドイツ兵墓地に再度埋葬されるが最初に埋葬されたときに記録が無いため、墓所にはEIN DEUTSCHER SOLDAT (ドイツ兵)とだけ刻まれ、墓を特定することは出来ない。
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写真:マーケットガーデン作戦 Operation Market Garden
騎士鉄十字章を授与された
ヴィクトル・エーバーハルト・グレブナーSS大尉
(Viktor Eberhard Gräbner)
騎士鉄十字章授与式のグレブナーSS大尉
アーネム橋上の破壊された第9SS装甲偵察大隊の車輌群(連合軍の撮影)
アーネム橋上の破壊された第9SS装甲偵察大隊の車輌群(連合軍の撮影)
アーネム橋、上方に破壊された第9SS装甲偵察大隊の車輌群が見える。
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Last updated
2024年11月21日 23時17分28秒
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