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この映画を見た率直な感想から。「アメリカという国は何故、これほどまでに幸せそうな顔をしつづけなければならないのだろうか。」撮影前に芝居のようにリハーサルをやるという念の入れようで、その分、ケビン・スペイシー、アネット・ベニングら名優たちの演技が光る。アカデミー賞8部門にノミネートされた傑作コメディ。「アメリカ」という病、あるいは「アメリカ」という文化と同じベクトル上にある「日本」も他人事ではいられないのかもしれない。
郊外の新興住宅地に住むレスター(ケヴィン・スペイシー)は見栄っ張りな妻キャロリン(アネット・ベニング)とろくに会話もしない娘ジェーン(ソーラ・バーチ)との暮らしの中で人生を諦めて過ごしていた。そんなある日、彼は娘の友人のアンジェラ(ミーナ・スバーリ)に一目ぼれする。アンジェラの「筋肉がついたら寝てもいい」との言葉にレスターはトレーニングを開始する。一方、キャロリンは仕事上のライバルの不動山王バディ(ピーター・ギャラガー)と急接近、モーテルで欲求不満を解消していた。ジェーンは隣人のリッキー(ウェス・ベントレー)にビデオカメラでつけ狙われていた。最初は気味悪がっていたジェーンだが、リッキーの持つ雰囲気に次第に惹かれていくのだが… この映画は、アメリカの抱える「病」を凝縮させたといってもいいだろう。レスターは家庭と仕事の中ですっかり自分自身を抑圧してしまっているし、妻キャロリンは「幸せな中流家族」像を追いかけることしか関心がない。アンジェラは自分の「美しさ」を吹聴し、他の男の視線を集めることこそが最大の関心事だ。隣家に元海兵大佐のフィッツは「規律」と「暴力」で家族を支配し、同性への関心を「差別」することで抑圧している。フィッツの妻はノイローゼ気味。近隣にはゲイのカップルも住んでいるし、不動山王バディは「成功を目指す者はどんな時も幸せのイメージを保つことが大切」と言い切るような男だ。 彼らの「病」、それはまさに「俗物」と呼ぶに相応しい存在だということだろう。 アメリカの青春小説が「失われたイノセント」をモチーフとするように、この主人公レスターは冒頭から自分が何かを失ってしまったことを語る。今の生活を維持するために自分自身を裏切り、抑圧し、希望を抱けずにいる。しかし彼がこの映画で取り返そうとしたものは決して「無垢なる自分」ではない。 →続きを読む お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.04.03 12:18:59
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