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ロンドンの生活の中で、私は時々とんでもないことに巻き込まれることがあった。
まずは、ロンドンでまだ私が学校に行き始めの頃である。 自宅のあるウエスト・ケンジントン駅から地下鉄に乗り、一つ目のアールズ・コート駅で電車を乗り換え、語学学校のあるパットニー駅に行く電車がホームに止まっていたので乗り込み電車が出発するのを待っていた時である。 外から1人の男が電車の中に入ってきて私の前に立ち、「ウッデュー・マインド・ステッピング・アウト・サイド(外に出ていただけますか?)」と言って何か手帳のような物を私の目の前に差し出した。 良く見るとそれは、彼の顔写真が写っている身分証明書のような物で、はっきりとは思い出せないがそこには「POLICE」と言うスタンプが押してあったように思う。 いくら鈍い私でも、この状態が「すいません。今私は学校に行く途中でこの電車で行かないと学校に遅れるんです。」と断れる状態ではないのは一目瞭然である。 私は、彼の後について電車を降りた。 するとそこには、7~8名の私服の刑事が待っていて一斉に私を取り囲んだ。 その中の1人が「ウッジュー・マインド・サーチング・ユア・バッグ?(貴方のかばんの中を拝見させて頂けますか?)」と言いながらその手は既に私のバッグの中に入っていた。 彼らが何を探しているのかわからないが、私は彼らのなすがままである。 私の周りは背の高い私服の刑事達がぐるっと取り囲んでいるので、多分プラットホームにいる人達には私の姿が見えない。 バッグを見終わった刑事は、バッグから何も出てこなかったからなのか?少々苛ついた声で今度はロール・アップ・ユア・スリーブス(シャツの両袖を捲くり上げて)と言った。 私が袖を捲り上げると、腕の上にある小さな赤い点を指差して「ワッツ・ジス?(これは何だ?)」と私に聞いた。 私は彼にアイ・ドン・ノー・メイ・ビー・インセクト・バイト?(知らない。多分虫刺されじゃない?)と何気なく答えた。 彼らは諦めたのか、私にお詫びの言葉も言わずに行こうとしたので私は「ワット・ワズ・イット・フォー?(なんの為のだったの?)」と聞いた。 すると1人が私を振り返り「トゥ・プルーヴ・ユア・シチュエイション・ライト(君の立場を証明してやったのさ)」みたいな捨て台詞を吐いて行ってしまった。 今思い返せばあの刑事たちは、私が麻薬の売人か何かと間違えたのだと考えられる。 それが彼らの期待に全然添えずにお手柄も無く、完全な的外れだったので多分相当頭にきていたのだろう。 これで彼らも、人間を格好で判断しなくなっただろうと考えると結構痛快である。 しかし「私の格好は、そんなに変だったのであろうか?」と疑問に思うと結構いたたまれなくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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