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新生QUASARはそんな感じで始まり、キースはドラマーのデイブにコンサートの予約をどんどん取らせていた。
キースの予定では、地方でのコンサートを手始めにどんどんファンを募り、最後に登竜門のMARQUEEでのコンサートにファンを総動員して音楽関係者を呼び、ショーケース的なコンサートを行うというものだった。 只、最初の時点の新生QUASARのコンサートは悲劇的なものがあった。 OXFORDでのコンサートでは会場が2階にあり、我々は全ての機材を狭い階段を登って2階の会場まで運ばなくては成らなかった。 ここでバンドの持ち機材の説明をすると、所有している機材は小ホールや体育館位のコンサート会場は自前の機材で余裕でコンサートが出来るシステムPA(16chのミキサーや5つのモニタースピーカーそしてマイクやマイクスタンドそして縦・横1.5mほどのフロントスピーカーなど)を持っていて、会場は単に場所を提供してくれればどんな所でもコンサートを開くことが可能であった。 これだけの機材を上記の様にバンドのメンバー4人で(内トレーシーは女性なので実質3人となる)コンサートの前に2階まで運ばざるを得なくなると体力的に少々きつい。 加えてデイブとキースは其々の身長が180cmはあるので、コンサート用の大きなスピーカーを持って階段を上がる時等は身長が当時170cmの私にとっては結構苦労の種だった。 その他にも、行ってみたら会場に観客が一人しかいなくて、殆どリハーサル状態のコンサートになってしまった事も今思えば面白い経験である。 私がバンドで演奏していて困ったことは、イギリス人のバンドに東洋人がギタリストとして入っている事が気に食わないという人もいるらしく、演奏前に友達を連れてきてこいつは素晴らしいギタリストだからあいつ(私を指さして)の代わりに使ってくれと言いだす観客がいたり、演奏の途中で「俺にギターを弾かせろ、俺の方がもっとうまく弾けるぞ!」とステージに乗り込んでくる酔っぱらいもいた。 もう一つ困ったことは、我々の音が通常のパブバンドと比較して格段に良いためにマイミング(弾いている振り)をしていると疑われることがあった。 ある晩、コンサートの合間に観客の一人が私の前に寄って来て「レッド・ゼッペリンを弾いてみてくれ!」と言うので「今は、コンサートの合間に雑音が流れないように音を切っているので、ギターの音は出せない。」と言うと「そうだろうな。」と言って帰ってしまった。 後で、その男の近くで彼の話を聞いていた友人が教えてくれたのだが、彼は私がギターを弾いている真似をしていると言っていたそうでコンサートの始めからずっと疑っていたらしかった。 もう一つ思い出した事は、ある晩コンサートが終わってから一人の年配の人がビールを片手に私に話しかけてきた。 「君は、日本人なのか?そうか。私はビルマの戦線で日本人と戦った事があるんだ。」 すかさず私は「そうですか。それは私が生まれる前のことですね。そんな時代もあったのですね。」と言ってかろうじてその場の会話を逃げた経験も今思えば懐かしい思い出である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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