カテゴリ:日本文化論
私の住んでいるアパートメントは外国人研究者専用です。
ポスドクとしてスウェーデンの大学に雇われてやってくる人がほとんどで、年代としては30台前半が多いように思われます。 また奥様も結構Ph.Dを持っている、またはマスターを持っている、という人が多いようです。 ここに住んで約1年半。 最近2歳前後の子供を持つママ友達が幾人かぱたぱたと再就職を始めました。 国籍は、カナダ、アメリカ、イタリアとさまざまです。 週2,3日、大学でポスドクとして、または博士課程の学生として給料をもらいながら。 スウェーデンでは子供は1歳からデイケアに預けることができることも影響してるでしょう。 日本で学生をやってた6年間と大学で働いていた1年弱の間、小さな子供を持つママさん(専業主婦暦あり)が、大学の研究室に戦力として再就職したなんて話は聞いたことありませんでした。 でも欧米では日常的に行われているようです。 何が日本と違うのか?文化?女性の自立意識? いえいえ。やはり、「資金」でしょう。 旧東欧出身の40前のポスドクさんが、このたびめでたく高額のグラント(資金)をゲットしたそうです。 今後4年間の研究費+ポスドクを2名雇えるほどの。 大学の基礎研究とそれに付随する人件費に資金を提供する企業や団体が、欧米には日本よりもぐんと多いようです。 一つには多くの企業が自前の研究機関を持たないことがあるでしょう。 最先端の研究は研究専門機関にやらせ、企業は実利化部分を担当する。 そんなに単純なことじゃないでしょうが、概略はこんな感じでしょうか。 あと、特許に関する考え方も違うのでしょう。 日本の企業では、10年ぐらい前は韓国、今は中国があまりにも仁義泣き戦いを仕掛けてくるので、外部機関に研究を委託するなんてことは、技術の核心部分に近づくほどできません。 彼らの無法なやり方は、ディスプレイ業界で8年開発を担当してきてイヤというほど見てきました。 日本企業のあり方を変えることは、端的に言えば中国という国を変えるぐらい難しいでしょう。 結論として、日本では大学等の研究機関には欧米ほどの資金は行き渡らない。 博士号取得者を欧米並みに増やすという国策は、最初から破綻が分かりきっていた愚策だった、ということでしょうか。 そうは言ってももう博士号を取得してしまった方々はなんとか生きていかなきゃいけない。 実力のある博士さんなら、資金の潤沢な欧米へ飛び出しても十分やっていけるでしょう。 こちらでは「博士」号は貴重です。 これがあれば、女であろうが、子供がいようが、6年間主婦してようが、再就職もできます。 それだけ敬意を払われているのです。 しかし日本では、むやみに数だけを増やしたため、一昔前なら博士審査には通らないような人でも博士号を持っています。 そして、その「博士号」を、本人も社会も、持て余してます。 何のために金と時間を費やして取得したのか。不幸です。 せめて、これ以上こんな人たちを増やさないように、文科省さんの早期の政策転換を強く願ってやみません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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