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ウクライナに逃亡した元共産党ロシア国会議員ヴォロニェンコフ氏キエフで射殺〜警官に撃たれた実行犯の1人も病院で死亡、ヤヌコーヴィッチ氏からプーチン大統領への書簡の証拠を携えてウクライナに逃れたヴォロニェンコフ氏と妻でオペラ歌手のマリーヤ・マクサーコヴァ氏
*現在マクサーコヴァ氏はウクライナでブロガーとして活躍。ウクライナ情勢のコメンテーターとしても頻繁に登場しています。 何度か掲載したロシアの元国会議員で共産党のメンバーだったデニス・ヴォロニェンコフ氏が逃亡先のキエフで射殺されました。 全容は明らかにされていませんが、実行犯のうち1人はウクライナ国籍とされ、ヴォロニェンコフ氏のボディーガードに撃たれ、病院に搬送されたものの死亡しています。 ヴォロニェンコフ氏はヤヌコーヴィッチ氏がプーチン大統領にロシア軍の派遣を要請した書簡のしょうこを携えてキエフに逃亡しています。その際、統一ロシア当院でオペラ歌手のマリーヤ・マクサーコヴァ氏も同行。 ロシア国内では二人を「売国奴」と批判する声が大きく、ヴォロニェンコフ氏は「反逆罪」で訴追を受け国際指名手配となっていました。 ロシア語圏では「映画なんていらない。日常で映画よりもっとすごいことが見られるから。」という話を聞きます。 まさに白昼堂々と行われたロシアの元有力代議士射殺事件。プーチン大統領が手を引いていたのか、それともヤヌコーヴィッチ氏なのか、全容は不明です。 ウクライナに逃亡した元共産党ロシア国会議員ヴォロニェンコフ氏キエフで射殺 112 UA ロシアの元国会議員(共産党出身)でウクライナに逃亡中のデニス・ヴォロニェンコフ氏がキエフで射殺されました。 捜査によるとヴォロニェンコフ氏は4発の銃弾を受けています。現在ウクライナ警察ではヴォロニェンコフ氏の家族周辺の警備を強化し、殺害の究明に全力を挙げています。 ヴォロニェンコフ氏はキエフのホテルプルミエル・パレスの近くのプーシキンスカヤ通りとシェフチェンコ大通りの交差点で射殺されました。 状況から殺人犯はヴォロニェンコフ氏を待ち構えていたと考えられます。 ヴォロニェンコフ氏はボディーガードとともにホテルを出て元ロシア国会議員のイリヤ・ポノマリョフ氏との会談に向かう予定でした。ポノマリョフ氏もヤヌコーヴィッチ元大統領に不利になる証拠これまでにを提示していました。 ヴォロニェンコフ氏は4発の銃弾を受け、1発が首、2発が顔に、1発が腹部に当たっています。またボディーガードも心臓近くを負傷。ボディーガードはウクライナの特殊部隊から派遣されていました。 このボディーガードは逃亡しようとした犯人に向かって発砲、胸と頭を貫通する怪我となり、犯人は危篤状態で病院に搬送されましたが、手術中に死亡。 ウクライナ検察は「プロの殺し屋とみられる。その一方、驚いたことに身分証明書を所持していた。現在身元は公表できない。」と発表。 現場近くでは20個近くの銃弾カートリッジが発見されています。犯人はトカレフTT-33を使用。一方ボディーガードはスチェッキン・マシンピストルを使用。 ビデオは殺害の直後に撮影されたもので、警官が負傷したボディーガードを救助、腹部を抑えている様子が映っています。犯人はグレーのスポーツ用上下を着用し、手袋をはめていました。 ボディーガードの横に仰向けに倒れているのがヴォロニェンコフ氏。 「ここにもまだ生きている人がいます。警察を!」と声が聞こえます。 「触っちゃダメだ。救急隊に任せないと。」 検察の発表では犯人は何者かが運転するDaewoo社の車で現地に到着。現在この車の行方を追っています。内務省は実行犯はウクライナ国籍であると発表。 ヴォロニェンコフ氏の妻、マーリヤ・マクサコヴァ氏は現場に駆けつけ、現在警察の取り調べ受けています。 ウクライナ治安局はマクサノヴァ氏とヴォロニェンコフ氏と面会することになっていたポノマリョフ氏の警備を強化することを決定。 ポノマレフ氏は「ヴォロニェンコフ氏は身の危険を感じており、ウクライナ政府から派遣されたボディーガードに警備を任せていた。」と語っています。 ヴォロニェンコフ氏の遺体は現在検視官が調べている最中。警察は監視カメラの映像を入手し分析しています。交差点のいくつかのカメラからの映像を取得したと発表。 射殺された直後のヴォロニェンコフ氏 現場に駆けつけた妻のマクサノヴァ氏、その場に倒れ泣き崩れたとのこと。 崩れるようなマクサコヴァ氏 *マクサコヴァ氏の母、リュドミラ・マクサコヴァ(女優)氏はこの殺人に関し「ヴォロニェンコフには天罰が下ったのだ。国を裏切った者の末路はこんなものだ。」となんと殺人を歓迎するかのような発言をしています。 犯人も病院で死亡 犯行の動機 キエフ警察では計画殺人としてこの事件を正式に記録。検察長官のユーリー・ルーツェンコ氏は「まさに今日、ヴォロニェンコフ氏は軍検察局に証拠書類を提示することになっており、互いにテキストで連絡をとっていた。犯人はヴォロニェンコフ氏だけでなく妻のマクサノヴァ氏も狙っていた可能性がある。」 ルーツェンコ氏は「殺人は証人を処刑する行為。」と非難。 「犯行の動機としてヤヌコーヴィッチ氏の国家反逆罪訴訟の証人であるヴォロニェンコフ氏を狙ったヤヌコーヴィッチ関係の犯行か、プーチン大統領によって匿われたロシアの密売組織による犯行かのどちらかと見ている。 ヴォロニェンコフ氏はロシアの麻薬と密売組織撲滅局で働いていた。それで、『大佐』という通称もあったぐらいだ。ヴォロニェンコフ氏はロシアで起こった『三輪車汚職スキャンダル』(家具の密売組織、警察、関税局による大汚職スキャンダル)では彼の部下が調査をしていた。 彼自身も犯罪組織調査の指揮をとっていた。 捜査班は家具の密売組織が『三輪車トリィ・キット』家具店で起こった密売事件にはロシア治安局がマークしていた大掛かりな密売組織の一味が関与していた。 この調査でロシア治安局の数人が懲戒免職となったが、その中にはその後プーチン大統領に非常に近いとされるロスネフチの治安に当たった者がいる。」とルーツェンコ氏。 *つまり、ヴォロニェンコフ氏の捜査が原因で解雇された者がプーチン大統領側近護衛に雇われていたということで、この事実から麻薬・密売組織と政府の黒い癒着(警察、治安、関税局)、そして大統領との関連でヴォロニェンコフ氏が殺害された可能性を示唆しています。 パラシェンコ大統領は「今回の殺人はロシアという国家によるテロ行為」とし「ヴォロニェンコフ氏は政治的に身の危険を感じて国外に脱出を余儀なくされていた。」と発言。 またロシアの特殊情報局を痛烈に非難し「ヴォロニェンコフ氏はロシアのウクライナに対する侵略行為の重要な参考人の一人であり、ヤヌコーヴィッチ氏がプーチン氏にロシア軍派遣を要請した手紙のしょうこを握る人物だった。」 パラシェンコ大統領は、奇しくも同じ日にハリコフのバラクレーの弾薬工場で爆発が起こっていると言及。 ヴォロニェンコフ氏の同僚、イリヤ・ポノマリョフ氏は「彼は敵が多かった。もっと早くロシアを脱出するようにと話していたのだが。」と発言。 「ヴォロニェンコフ氏は色々と知りすぎていた。プーチンによる汚職システムの多くの盲点を目の当たりにしていた。その為に敵から狙われることになった。もうすでに何度もロシア国内で殺されそうになった。 私としては、彼の殺害で最も特をしているのがオレグ・フェオクチンストフ、元将軍だ。ロシア治安局には直接プーチン大統領と話ができる何人かの将軍がいる。フェオクチンストフはその一人だ。」 ウクライナの国会議員アントン・ゲラシェンコ氏は「ヴォロニェンコフ氏はウクライナにロシア特別情報局と治安局によるマネーロンダリングを取り締まる特別調査局を作ることを計画していたところだった。」と述べています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 30, 2023 12:06:49 AM
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