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テーマ:珈琲喫茶店めぐり(196)
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帰省したときに東京の自家焙煎の喫茶店を訪問しようと思い、
ネットで最近の状況を調べていると食べログの東京のコーヒー専門店で 年末の時点で北山珈琲店が1番人気になっていました。 オールドビーンズ専門で 入り口に張り紙があるので有名なお店です。 30分以上いられない。携帯禁止。禁煙。待ち合わせ禁止。など ぼく自身は、怒られないようにお店のご主人の機嫌を伺うようなお店は苦手です。 このため北山珈琲店も張り紙のイメージから今まで敬遠していました。 しかし、訪問した人の口コミを読むと 珈琲を真剣に飲んでいる限り問題なさそうです。 年末に訪問してみました。 上野駅の中央改札から出て入谷方面に歩いて行こうとすると 足元に人の頭があることに気づき、ギョッとしてよける。 ちょうど曲がり角のわかりにくい所で頭だけだして寝ている人がいたため 危うく踏むところでした。 10分ほど歩いていくと、黄色い看板のお店が見つかりました。 入り口の張り紙は、新しい紙になっていたようですが ちょうどお店からでてきた先客と入れ違いで入ったため 何と書いてあるのか見るのを忘れました。 店内には他にお客さんは無く、 何も言われなかったのでカウンター席に座りました。 お店の中は西部劇のセットのようでした。 特に注意をひかれたのはカウンターの内側で、 砦のように一段と高く板で囲われていて ご主人はその中で作業しているため、全く見えませんでした。 ネルドリップで抽出しているところを見たいという願望は あえなく打ち砕かれました。 すぐに店員さんが水を持ってきてくれたので お店のブログを見てあらかじめ決めていた 今週末のストレートサービスの 秘蔵11年熟成「メキシコ ハイランドコアテペック」 をオーダーしました。 濃度の基準がわからないので普通のホット(800円)を選択。 長時間歩いて喉が渇いていたため単純に水を飲みたかったのですが、 水が入ったグラスには、透明の大きな氷の塊が詰め込まれていて、 氷の隙間を埋めるように少ししか水が入っていませんでした。 珈琲の前にあまり水を飲まないようにとのメッセージのようです。 ただし、水がなくなると店員さんがすぐに継ぎ足してくれました。 氷が入っているので、水はちょっとしか入らないのですが。 店内はジャズが小音量でかけてあり、 ときどきスピーカーが空気をつかむように振動させていました。 しばらくして店員さんが珈琲を運んできてくれて 珈琲の香りがカップから立ち上ってきました。 カップの上面に珈琲の香りが溜まっているのが見えるようでした。 いつもの調子で一口飲むと、濃度が濃いためか、香りが強いためか、 むせそうになり、なんとかこらえました。 油断してました。 カウンターの上にはコーヒー豆が入っているビンがずらりと並べられているので 濃厚な珈琲に慣れていない方はカウンター席に座るのは危険だと思いました。 テーブル席がお勧めです。 気を取り直して味わうと、通常のホットでも十分に濃厚で、 個人的に苦手なオールド特有の香りは感じられず、 飲みやすかったのは意外。 苦味、甘味、酸味はそれぞれ感じられるものの すべてが渾然一体になり重厚。 それでいて重すぎず洗練された印象。 これ以上は、何がなんだかわからない。 何かすごいものを飲んだという記憶があるだけです。 店員さんの接客は家庭的で暖かく、 帰り際に砦の中から挨拶されたご主人の声は 人の良さそうなやわらかい印象でした。 『ご馳走様でした。』 自分でも驚くぐらい素直に言葉が出てお店を後にすると なぜか体に力が入りにくく、ふらふらしていました。 気が付くと体の細胞の隅々まで活性化されたような 爽快な気分になっていました。 日常的なこまごまとしたことはどうでも良くなり 口の中に残る珈琲の余韻をたよりに 今飲んだ珈琲を頭の中で反芻していると 感嘆の唸り声をあげずにいられない。 お店から上野駅に戻る途中は 唸りながら歩く怪しい人になっていました。 東京に住んでいたらやみ付きになるところでした。 今後、上野界隈に行く機会があるときは、 万難を排して訪問したいお店になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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