カテゴリ:スポーツ一般
千秋楽の一番、久しぶりに大関の意地を見せ横綱を一度は突き放した千代大海ではあったが、一度組みとめられると善戦もそこまで、横綱は自力の違いを見せて寄り切った。 朝青龍は、東の花道を引き上げていった。そこには大きな花束を持った付き人がいた。ファンからもらった花束であろうと思った。横綱は、その付き人の前で止まり汗を拭った。そのまま娘に頬を摺り寄せたりしていたが動こうとしない。 NHKは観戦していたお母さんを待っているのかと言った。花束はお母さんに渡すのだろうという口ぶりであった。 さらに横綱は動こうとしない。うん?どうしたんだ。という雰囲気が画面から流れた。 そこへ、引退が決まり最後の土俵を勤めた「木村庄之助」が引き上げてきた。横綱は引退した立行司を待っていたのだ。 木村庄之助に丁寧に花束を渡しねぎらいの言葉を掛けている。一言二言ではないようだ。木村庄之助も感激の様子で頷くばかりだ。そしてさらに、懸賞金のいくつかを渡した。木村庄之助は固辞しようとしていたが、横綱はまた何かねぎらって花束を持っている手の奥のほうに押し込んだ。 テレビカメラの前で花束に加えて懸賞金を渡したので、中継の席のとまどった雰囲気が見ているほうにも一瞬ではあったが伝わった。が、次の瞬間に解説の北の富士が言った。 「おすそわけ、おすそわけ。いやあ、いきなことするなあ。横綱にやられましたねえ・・・」 (正確ではないが、このようなことを言った・・・) 私は、横綱の相撲に対する理解、尊敬と角界で一番強い男の優しさを見て胸が一杯になった。 横綱になった時はその所作についてとやかく言われたが、今の理事長の北の湖が横綱になった時、ソフトクリームを食べている姿が新聞にのり当時の春日野理事長に叱責されたものだ。当時21歳であった。しかし、その後立派な横綱になった。 朝青龍も北の湖、千代の富士を抜いて大鵬に迫る、いや大鵬をも抜く立派な横綱になってもらいたい。千代の富士と大鵬はその期待をしているのが言動からみてとれる。 千秋楽にふさわしい所作だった。ちなみに懸賞金は¥55,000である。 【東京】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.12.02 19:51:14
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