Journalism Online Lecture: North Korea 2024
静岡県立大学の「ジャーナリズム公開講座」第12回は、礒﨑敦仁 慶應義塾大学教授の「今年の北朝鮮」でございます。【備忘録】 1)北朝鮮崩壊論が唱えられて早30年! 2)4代目「尊敬するお嬢さま」 3)北朝鮮の高級幹部が日本を口汚く罵る事はない=言及もなかった 4)一人当たりGNPの南北比は1:30 5)トランプがノーベル平和賞欲しさに大胆な北朝鮮融和策を打ち出す事もあるかも知れない 6)国連加盟国193か国中、社会主義国は5か国(中国、ベトナム、ラオス、ベトナム、キューバ)のみ 7)個人独裁体制、個人支配体制 → これからもこの体勢を維持したい=「尊敬するお嬢さま」の 表舞台登場 8)韓国と北朝鮮の国力の差は歴然としており、さらに米韓同盟がバックアップしており、アジアの 最貧国の北朝鮮は必ず負ける。 9)韓国との北朝鮮主導での統一と言う夢を追うより、北半分の支配を維持する=「同族関係、同質 関係ではない敵対関係」 10)世界で国交正常化している国が大多数 11)地域研究ではあるがフィールドワークが出来ない、大きな限界がある。 12)北朝鮮は日本からの観光客を歓迎している。中国人は20万人の観光客が訪れている。プロパガンダ 13)情報衛星、韓国に亡命した延べ3万5,000人の脱北者情報(1年間に1,000人) 14)1000人/人口2600万人は多いとは言えない 15)ジグソーパズル的な分析が必要とされる 16)「労働新聞」は読む義務を課されている新聞 17)隠したい事は書いていないが、やりたい事は書いてある 18)軍事力ばかり強化している様に見えるが、経済力強化にも注力している 19)北朝鮮貿易は、中国が激増、韓国は保守政権下でも増加。日本の経済制裁は「ざる」だったのか。 20)2002年の5人の拉致被害者の帰国は、経済制裁の成果ではなく外交交渉の成果ではないのか。【質疑応答】 Q 女性が指導者になれるのか? A 誰も反対できまい。早いマスコミへの娘の登場は、儒教観念の強い北朝鮮にあって早目に浸透 させる必要があるからではないか Q 最大の脅威は何か? A 体制崩壊=内部からの体制崩壊はあり得ないが、外部=アメリカは脅威 Q ロケット開発の資金源は何か? A 北朝鮮は2600万人の人口の犠牲の上でロケット開発の資金を捻出している Q 拉致被害者を返還させる動機付けは可能か? A 前例は1個しかない。2002年の小泉訪朝。国交正常化をすれば、「漢江の奇跡」を実現させた 海外援助と同様の正常化資金を手にする事が出来ると考えた。ブッシュは「悪の枢軸」と規定し ていた。 日本より中国の方がお金があるし、資金を引き易い。加えて米朝関係は、トランプと直接会見 を実現するレベルに変化している。 Q 何故北朝鮮は日本を挑発するのか? A 挑発していない。日本に北朝鮮を攻撃する能力は無いので、相手にされていない。在日米軍は気 にしているとは思う。隣国に対しては感情が強く出易い。 Q パチンコの北支援は如何? A 北朝鮮に入ると再入国は出来ない、資金は10万円以上持ち出せないと言う事で、日本の経済制裁 はかなり徹底している。 Q 政策は金正恩一人で作っているのか? A 2013年の張成択の粛清は体制を委縮させた。プランB、プランCを進言する人はいなくなったの ではないか。その意味で、金正恩の思い描く北朝鮮になれなかったのではないか。