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2014.04.20
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安倍政権が間者としてNHK経営委員会に送り込んだウルトラ右翼の大学教授、同じくウルトラ右翼の都知事候補の応援演説で他候補を「人間のクズ」と叫んだベストセラー作家。この経営委員会から会長として選ばれた某会社社長が発言する妄言が話題になっている。要するに予定している憲法改正に批判的な番組を絶対にNHKに作らせないという意思なのだろう。

NHKにあるジャーナリズムの精神を骨抜きにしようという意図が露骨だ。ある政治的意思が放送や新聞等のジャーナリズムを支配する傾向が強いことは北朝鮮や中国の様子を見れば、明らかにわかる。自分たちに不都合な真実を出されることは政治的集団にとって敗北であるからだ。一方で一般市民の生活は圧迫され、自由が奪われる。人民の幸福を標榜していた政治的集団も自分たちが腐っている状況に気がつかなくなっている。

こうした中で、4月上旬の朝日新聞オピニオン欄に掲載された放送作家の石井彰さんの意見は卓見であった。石井さんはNHKや民放のドキュメンタリー番組の企画構成の仕事をされている。生粋の放送人だ。

石井さんによると、今の問題は公共放送としてNHK一社しかないことが問題なのだという。複数の公共放送があれば、視聴者は選んだ公共放送に受信料を払い、選べばいいのだ。だめな公共放送は淘汰されるというわけだ。そこで問題になるのは「公共放送とは何か」という指標だ。石井さんは公共放送には3つの指標があると考える。「1つ目は政権との距離。政府のいいなりにならない。政府が「右」と言ったら「右でいいのか」と検証すること。2つ目が民放との距離。「国会中継や障がい者向け放送のように視聴率やCMで成り立つ民放にはできない番組がある」。3つ目が視聴者との距離。これは最近の週刊誌の傾向で嫌中、憎韓の企画が毎週出てくる。これが売れるからだ。他者を見下す気持ち、うらやむ気持ち、心にひそむ欲情と商業ジャーナリズムは結託しがちである。公共放送は安易に世論に迎合してはいけない。

最近のNHKの問題点は、世間で問題になっていた「特定秘密保護法案」について番組でとりあげなかった。賛否両論を紹介するだけでもよかったのに。まさか経営委員会に遠慮したわけでもないだろう。また東日本大震災で被災者に十分な情報がとどけられなかった。地域的に孤立した場所に、一般情報など意味がない。水はいつくるか、医院はどこにできているか。これこそ公共放送の役目で、これを担ったのは臨時にできた災害FM放送だった。インターネットを使った市民メディアもあったであろう。本来的にはこうした所にNHK受信料の一部を分けるべきなのだ。

一連のNHK問題にNHK内部から批判する声が出てこないのは残念だ。電波は公共のもの。それをお借りして放送しているのだから、サラリーマン根性でなく、放送人としての自覚をもってほしい。

公共放送におけるジャーナリズムの役割を考える上で、上記の石井さんのご意見は参考になる。NHK経営委員会は大丈夫なのか。心配であるが、間者の意見ばかり通る腐った委員会なら、いずれ崩壊するであろう。

上記の複数の公共放送というのは、ものの喩えだ。NHKにがんばってもらいたい、
が趣旨であるのは当然だ。改めて公共放送を作ろうなどというのは徒労である。






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最終更新日  2014.04.20 13:50:56
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