774715 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

中高年の生涯学習

中高年の生涯学習

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2016.09.04
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が死亡した事件は8月26日で1ヵ月経過した。容疑者は警察署で未だ差別的言動をしているという。「障がい者はいなくなればいい」。これを単なる一部の妄言と考えるべきか。日本の福祉が欧米と比べ、30年遅れている、と言われている。日本の政治家、いや日本の国民性の度量のなさが現れているというべきか。この容疑者は元、この施設の職員だったというところが日本の福祉の悲劇的状況の表れである。もちろん福祉施設の職員は猛烈な努力をしている。施設が近所にできるとなると必ず反対運動をする人が現れる。大量の時間をかけて反対住民と話し合い、障がい者の真の実状を知ってもらい、情報公開を行い、施設建設にこぎつけるという実例もある。住民の一部に「障がい者恐怖」というのがあるのも事実である。「やまゆり園」のみならず、福祉で仕事をしている人間にも、障がい者、高齢者を否定的に見る人間が存在する事実を見据えなくてはならない。決して博愛の天使ばかりではない。中には仕事上、博愛の天使を装っている人間もいることは事実である。
昨年、川崎の有料老人ホームで職員が入所者を高層階から突き落とすという事件もあった。福祉施設の職員給料が安いという政治的経済的状況は確かにある。応募者が少ないので、適格者でないとわかっていても雇わらざるを得ない状況があるのも事実である。しかし福祉施設は最低限、命を守る所である。

東京大学准教授熊谷晋一郎さんの呼びかけで、相模原事件の追悼集会が開かれた。この事件に対するメッセージがアジア、欧米、アフリカなど27カ国から寄せられた(下記リンクサイトは事件の総合サイト。中に世界からのメッセージリンクがあり、ワードが立ち上がる。すべて英語なので、英語を勉強している方は読解にチャレンジ。長瀬立命館大学教授の翻訳がついている)。この事件の衝撃は世界に広まっている。日本の福祉の悲劇とはなにか、どう考えればいいのか。朝日新聞のフォーラム「耕論」というコーナーに3人の人物のインタビュー記事が載った。この事件の深層を探る上に参考になるので、記事の要点を略記する。

一人目は奈良崎真弓さん。知的障害者の当事者運動のサンフラワー会代表である。
小学校の時、友だちから「死ね」「障がい者はいらない」と言われて、ショックで毛髪が抜けてしまった。植松容疑者が「障がい者なんていなくなればいい」と話しているのを聞き、20数年前の事が思い出されて、嘔吐と寒気の襲われました。
現在、横浜市内の花屋に勤めていて、お客にも「親切ですよ」と慕われている。
「障がい者がいなくなればいいと思うことはたぶん、みんなにあると思います。でも障がい者が本当にいなくなったら、どんな社会になるんだろう? みんな年をとると体が動かないことがありますよね。事故で体が不自由になるかもしれない。その時、「あなたはいらない」と言われたらどう思いますか? 月に一度、知的障がい者が集う会を開いています。仕事、住居、恋愛といった悩みを話し合ってアドバイスしています。さまざまな人に出会い、人は一人ひとり違っていいと実感しています」
記者のインタビューにこれだけの答えができるということに知的障がい者というイメージが崩れるが、奈良崎さんの社会に出て、闘ってきて獲得された能力なのだろう。

二人目は浅野史郎さん。神奈川大学特別招聘教授。厚生労働省の役人から宮城県知事になり、慶應大学、神奈川大学教授になり、若者を指導している。
「1970年に厚生省(現厚生労働省)に入省してすぐの初任者研修で、重症心身障害児施設を見学しました。生まれて初めて大勢の重症心身障害児を見てショックを受けました。「この子たちはこうして生きていく意味があるのだろうか」。これが率直な気持ちでした。(略)私の考えが変わったのは福祉課長として北海道庁に赴任し、施設を訪ねて話を聞いて回ってからです。どんなに重度の障害者でも、昨日できなかったことが今日できるようになることがある。そんな進歩があれば、生きていて良かったと思う。その積み重ねが生きていくということなんだと。」その後、厚生省にもどり、始めたのが少人数で一緒に暮らすグループホーム制度」だ。制度が始まった89年は100か所だったが、今では7000か所になっている。今回の事件を受けて、施設に防犯カメラや塀を設けたり警備の強化を進める動きがありますが、これは施設を一種の要塞にしてしまう考えで「特殊な人の住む特殊な場所」という誤解を生むことになるので反対です。

三人目は雨宮処凛(かりん)さん。貧困、非正規労働に取り組む女性活動家。するどい視点をもつ作家でもある。
「植松容疑者の行為は、期待通りの経済的な利益を生まないものは生きる価値がないという、この国の津々浦々にうっすらとはびこる価値観が露骨に表れた最悪の結末です。(略)こうした価値観は1990年代後半以降、グローバル化に伴い国際競争が進むにつれて顕著になった。99年に障害児施設を訪ねた石原慎太郎東京都知事は「ああいう人ってのは人格あるのかね」と述べました。麻生太郎財務相は今年6月、高齢者の老後に言及して「いつまで生きてるつもりだよ」と発言。でも、この社会は本気で怒らなかった。(略)人の生存は本来、無条件に肯定されるのが大原則。2歳児は「年収いくら?」などとは聞かないし、障害者を差別もしない。他者をあるがまま承認する価値観は生まれながら持っているのに、成長する過程で奪われて行く。」

ほとんどの人は重症児に出会ったらビックリして生きている価値があるかと思う。
浅野教授と石原都知事の違いは、その後知ろうと努力したか、しないかの違い。命の輝きを発見できたのと、あいかわらずの尊大な文学観に迷っている人間との違いである。

「やまゆり園襲撃事件の世界からの追悼メッセージ」
http://www.arsvi.com/2010/20160726ts.htm






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.09.04 17:11:20
コメント(1) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


Re:相模原事件の深層(09/04)   一般神 さん
 知的障害者が経済的にマイナスにはなっていないという事実を踏まえた上で、それを良しとする人と良しとしない人の意見の重さを公正な視点で語るべきですね。
 他の何を犠牲にしても全ての命を取り敢えず生かしておくことが正解という答えを決め付けて語るのはどうかと。 (2022.05.08 17:09:17)

PR

カレンダー

プロフィール

masa2948

masa2948

コメント新着

一般神@ Re:相模原事件の深層(09/04)  知的障害者が経済的にマイナスにはなっ…
2021 放送大学生@ Re:放送大学の自主規制(11/01) 放送大学 天下り で検索し、こちらに来…
Sosuke Washiya@ Re:漱石「こころ」を読む(09/21) はじめまして、鷲谷と申します! 『ここ…
飯田豊@ Re:「メディア論」の現在(09/29) 詳しくご紹介くださり、まことにありがと…
masa2948@ Re:障害者になって当然の奴はいる(08/05) 芋田治虫さんへ 現在生きている障がい者…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

楽天カード

お気に入りブログ

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.