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カテゴリ:漢詩・漢文
和樊使君登潤州城樓 劉長卿
山城迢遞敞高樓、露冕吹鐃居上頭。 春草連天隨北望、夕陽浮水共東流。 江田漠漠全呉地、野樹蒼蒼故蒋州。 王粲尚為南郡客、別來何(一作無)處更銷憂。 【韻字】楼・頭・流・州・憂(平声、尤韻)。 【訓読文】 樊使君の潤州城楼に登るに和す。 劉長卿 山城迢遞として高楼敞(たか)く、露冕鐃を吹きて上頭に居り。 春草天に連なりて北望に随ひ、夕陽水に浮びて東流を共にす。 江田漠漠たり全ての呉地、野樹蒼蒼たり故の蒋州。 王粲尚(かつて)南郡の客と為り、別来何れの(一に「無」に作る)処にか更に憂ひを銷さん。 【注】大暦五年(七七〇)潤州に旅したときの作。 ○樊使君 樊晃。大暦五年から七年にかけて潤州刺史をつとめた。「使君」は、刺史。 ○潤州 江蘇省鎮江市。 ○城楼 城門上の物見やぐら。 ○山城 山間のまち。 ○迢遞 高く切り立ったさま。 ○高楼 高く立派な建物。 ○敞 たかくひろいさま。 ○冕 礼装用のかんむり。 ○吹鐃 軍楽を演奏する。「鐃」は、陣がね。軍中で鼓を打ち鳴らすのを停止させるのに使う。大型の鈴に似て舌が無く、柄あり。 ○上頭 前列。 ○漠漠 ひろびろと続くさま。たり全ての呉地、野樹蒼蒼たり故の ○蒋州 唐の江南道の州の名。旧治はいまの江蘇省南京市。 ○王粲 後漢末の文人。山陽高平(山東省鄒県の西南)の人。字は仲宣。若いころ、乱を荊州に避け、劉表に仕えたが、多年志を失い、「登楼賦」を作って思いを抒した。のち曹操に仕え、丞相の掾となり、関内侯の爵を賜り、官は侍中に至った。建安二十二年、呉への遠征中に病没。王粲登楼は文人の落魄漂泊の典拠となった。建安七子の一。(一七七……二一七年)。 ○尚 「嘗」と通ず。かつて。 ○南郡 秦の郡の名。治所は郢(湖北省江陵の東北)、のちに江陵に移った。前漢は全国に十三州を置き、南郡は荊州の一部であった。 ○別来 別れて以来。 ○何処 どこ。 ○銷憂 憂さを晴らす。 【訳】 樊使君の「潤州城楼に登る」詩に唱和した詩。 山間の町けわしくて城門の楼いと高し、かんむり露わにカネたたき陣の前列位置しめる。 天までつづく草の原、夕陽うつして川流る。 呉地の田畑は広々と、もとの蒋州木々深し。 王粲南郡の地にあそび、別かれて以来いずこにて己が憂いを消すやらん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 5, 2007 11:40:56 AM
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