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趣味の漢詩と日本文学

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August 3, 2007
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カテゴリ:漢詩・漢文
將赴嶺外留題蕭寺遠公院(寺即梁朝蕭内史創) 劉長卿
竹房遙閉上方幽、苔徑蒼蒼訪昔遊。
内史舊山空日暮、南朝古木向人秋。
天香月(一作夜)色同(一作空)僧室、葉(一作月)落猿啼傍(一作訪、又作送)客舟。
此去播遷明主意、白雲何事欲相留。
【韻字】幽・遊・秋・舟・留(平声、尤韻)。
【訓読文】
将に嶺外に赴かんとして蕭寺の遠公の院に留題す。(寺は即ち梁朝の蕭内史の創りしなり。)竹房遥かに閉ぢて上方幽かなり、苔径蒼蒼として昔を訪ひて遊ぶ。
内史旧山日暮空しく、南朝古木人に向かひて秋なり。
天香月(一に「夜」に作る)色僧室を同じくす(一に「空」に作る)、葉(一に「月」に作る)落ち猿啼きて客舟に傍ふ(一に「訪」に作り、又た「送」に作る)。
此を去りて播遷するは明主の意、白雲何事ぞ相留めんと欲する。
【注】
○嶺外 五嶺以南の地区。広東・広西および越南人民共和国の北部一帯。
○留題 詩を詠んで書き残す。(
○蕭寺 寺院のこと。梁の武帝が寺を造ったとき、蕭子雲に蕭の字を大書せしめた。
○遠公 未詳。僧の名。
○院 寺院中の僧侶に割り当てられた建物。
○梁朝 南朝の一。蕭衍が斉を滅ぼして建てたが、四代五十六年で、陳に滅ぼされた。(五〇二……五五七年)。
○蕭内史 蕭子雲。字は景喬。南蘭陵(いまの江蘇省常州あたり)の人。梁の武帝のとき、臨川の内史となった。
○竹房 庭に竹のある僧坊。
○上方 山の上方にあるところから寺をいう。
○苔径 コケむした小道。
○蒼蒼 うすぐらいさま。
○南朝 東晋の末、南方で劉裕が晋を滅ぼして宋を建国してから、隋に統一されるまでの宋・斉・梁・陳の四王朝。いずれも漢民族による王朝で、すべて約一七〇年間。
○天香 非常によい香り。ここでは寺院の線香の香りであろう。宋之問《題霊隠寺禅寺》「桂子月中より落ち、天香雲外に飄る」。
○客舟 旅人の乗る舟。
○播遷 遠方の地をさすらう。
○明主 聡明な君主。りっぱな天子。
○何事 どういうわけで。
【訳】
これから嶺外に赴任しようとして蕭寺の僧侶遠公の庵に書き残した詩。(寺は即ち梁王朝の蕭内史の創建である。)
山上の寺ひっそりと竹林僧房閉じて留守、苔むす小道青々と昔なじみに会いにきた。
寺を設けた蕭子雲この山寺に日は暮れて、南朝以来ずっと立つ古木に秋の気配あり。
月の明かりに照らされる僧室線香かおり満ち、木々の葉散りて猿は啼き旅人の舟いとさびし。
此からさらに流されるそれも天子の御意なれば、白雲いったい何思い我留めんと欲するか。 









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Last updated  August 5, 2007 06:40:41 AM
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