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ココロのSound of Silence.

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2013.06.01
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カテゴリ:COTTON NOVEL



傘の群れに交じって、時間を気にしながら歩く。

朝からずっと降っている雨。

雨の匂いは視界をぼんやりさせるのだろうか、頭がちょっと重い感じだ。


ふと、考える。

この群衆の中のどこかに彼女もいるのだな。

約束の場所さえ決めていなかったら、出会える確率はほとんどゼロだ。


交差点をあと2つ。

赤信号がもどかしい。

仕事も2つ、後回しにして退社した。

仕事なんて、僕の人生にとってそんなに意味があることじゃない。

今日、彼女に会うことができなければ、それは僕にとって大きな後悔になる。

誰かと付き合い始めて間もないころは、いつもそんな気持ちになる。


最後の交差点を渡り、地下道への階段を下りる。

もうすぐ、もうすぐ。

余りにも大きな期待は裏切られる。

それは百も承知だ。

だけど、今日の雨は僕を追い立てるように彼女のもとに導いている。


待ち合わせ場所のフラワーショップに彼女より早く着いて、小さなブーケを作ってもらわ

なきゃ。

歩きながら傘をたたんで、果たして彼女はブーケを喜んでくれるのだろうかとちょっと不

安になったりもする。

「ダメモト、さ」

僕はそうつぶやいて、先を急いだ。





  • COTTON-P18.jpg









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最終更新日  2013.06.01 10:27:39
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