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テーマ:楽天写真館(355259)
カテゴリ:COTTON NOVEL
傘の群れに交じって、時間を気にしながら歩く。 朝からずっと降っている雨。 雨の匂いは視界をぼんやりさせるのだろうか、頭がちょっと重い感じだ。 ふと、考える。 この群衆の中のどこかに彼女もいるのだな。 約束の場所さえ決めていなかったら、出会える確率はほとんどゼロだ。 交差点をあと2つ。 赤信号がもどかしい。 仕事も2つ、後回しにして退社した。 仕事なんて、僕の人生にとってそんなに意味があることじゃない。 今日、彼女に会うことができなければ、それは僕にとって大きな後悔になる。 誰かと付き合い始めて間もないころは、いつもそんな気持ちになる。 最後の交差点を渡り、地下道への階段を下りる。 もうすぐ、もうすぐ。 余りにも大きな期待は裏切られる。 それは百も承知だ。 だけど、今日の雨は僕を追い立てるように彼女のもとに導いている。 待ち合わせ場所のフラワーショップに彼女より早く着いて、小さなブーケを作ってもらわ なきゃ。 歩きながら傘をたたんで、果たして彼女はブーケを喜んでくれるのだろうかとちょっと不 安になったりもする。 「ダメモト、さ」 僕はそうつぶやいて、先を急いだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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