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マックス爺のエッセイ風日記

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2018.06.16
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カテゴリ:芸術論
~仙台市博物館2018~

 

 あれからかなりの日が経ったが、4月末のある日私は仙台市博物館を訪れた。企画展『日本民芸館所蔵品による手仕事の日本 ~柳宗悦のまなざし~』を観るためだった。企画展のため65歳以上の市民は無料。さほど期待もしないで、ぶらりと出かけたのだった。

             

 柳宗悦(1889-1961)は通常「やなぎ・そうえつ」と呼ばれるが、正確な読みは「むねよし」。東京の生まれで学習院高等科卒業の頃、志賀直哉、武者小路実篤と共に『白樺』創刊に参加し、宗教、哲学、西洋美術などの論文を発表。東京帝大哲学科卒業後、無名の職人が作る日常品に美を見出し、全国を旅して収集を開始。「民芸」の名を最初に唱え、1936年東京駒場に日本民芸館を設立し、初代館長となった。

  
                <日本民芸館>

 この企画展は宮城県民芸協会の設立50周年記念行事で、柳宗悦が収集した日本民芸館の所蔵品の中から、東北に関係するものなど118点が展示された。展示物は撮影不許可のため、写真はパンフレットから借用した。このため数量が限定され、不鮮明な画像となったことをお断りしたい。なお私は大阪日本民芸館や国立民族学博物館でも関係資料を観覧している。以下に展示物の抜粋を紹介したい。

       

 螺鈿丸散し菓子箱(18世紀) 漆工芸品の装飾技法の一つ。貝殻の真珠層を器物の表面に張り付け、漆で固定したもの。

  

 文字入り小筥 1942年 秋田県角館町(当時)にて収集。樺桜(山桜の一種)の皮を使った木工品。仙北市角館で作られる。柳は皮の渋い赤紫の色調や、磨いた際の漆のような艶や強靭さを愛した。

       

 大黒型自在鉤 19世紀 北陸地方にて収集。堂々たる造りで、下方中央部には実際に囲炉裏で使用された時に出来た、ロープの傷跡が残っている。

  

 こぎん衣装 19世紀~20世紀初め 青森県津軽地方にて収集。こぎんは弘前地方を中心として作られた刺子(さしこ)。紺染の麻地の奇数の布目を拾って、白木綿の糸で背中と胸に模様を刺す。弘前の東と西とでは、模様の系統が分かれる。

             

              椿紋様常盤紺型 1934年 仙台市にて収集。 

  

 緑黒釉掛分皿 1930年代 鳥取県牛戸にて収集。釉(うわぐすり)は陶磁器表面の装飾と吸水性をなくす目的で、ガラス質の層を溶融・密着させるもの。

                 

 緑釉雲助徳利 1930年代 福岡県西新町(当時)にて収集。 雲助とは道中の労力を提供する人足の総称。また雲助徳利とは、瓶や壺など大型の容器から小型の容器へ液体を移し替える際に媒介的に使用する中型の容器で、このため注口部を備えている。      

  

 堤人形 花魁(おいらん) 19世紀 仙台市にて収集。江戸時代から伝わる伝統的な泥人形。

               

 鬼霰(おにあられ)鬼面付湯釜 20世紀前半 岩手県にて収集。 地肌に粒状の細かい突起を浮き出させた釜を霰釜(あられがま)と言い、その中で特に突起が大きいのを鬼霰と呼ぶ。

  

    芹沢銈介作「日本民芸地図」の部分 1941年

          

       柳宗悦著『手仕事の日本』1948年 靖文社刊 芹沢銈介装丁

 芹沢銈介(1895-1984)は静岡市生まれの染色家で人間国宝。沖縄の紅型(びんがた)を最初に紹介した人。図案、型彫、染色まで一貫して行う。仙台市の東北福祉大学に付属の芹沢銈介美術工芸館がある。

  

      

          

           過去に開催された関連する企画展のポスター3点。


               

 特別展に比較して、企画展は規模も小さいため展示品が少ない。その分気楽に観覧出来るのが良いとも言える。さて、民芸品は単なる芸術品ではなく、生活の中で使われてこそ意味を持つ、実用品であることを忘れてはいけない。幕末に来日したシーボルトも多数の民芸品などを収集し、母国に持ち帰っている。なお、写真の大部分はパンフレットから借用した。改めて表記し、お礼を申し上げる。





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Last updated  2018.06.16 05:40:34
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