潤風満帆☆ごきげん号！！

電車の座席に座ったところ
隣に座っていた
手押し車のおばあさんに

「もうすぐ降りる駅だし
着いてからだと大変だから
もう行った方が」
扉の方へ行くように促しに
少し離れたところから30代くらいの
女性がおばあさんのところへ


私はてっきり
家族の人？孫？か
もしかしたらヘルパーさん？
と思ったの

おばあさんが とても丁重に
頭下げてお礼言ってるので

あれ？違うのかな？
たまたま電車で乗り合わせた人？


腰曲がった小さなおばあさん
手提げカバンの開いた口の
一番上にあったものを
即座に取り出し
その女性に押し付けた！

女性は受取り拒否！

つまり、おばあさんは
女性の親切に対してのお礼にと
持っていたソレをどうしても
差し上げたかったわけ


女性の手提げカバンは小さく
おばあさんからのソレが入らないし
この後行くところがあるし
と理由づけて受取り拒否！


いやいや
それでは私の気が済まないとばかり
諦めないおばあさん

駅に着くまでの少しの時間に
おばあさんと女性
ソレを互いに押し付け合って
どっちも引かない！


女性はとうとう
「そんなつもりで やったんじゃないし」
と怒り顔寄りの困り顔


ははあ なるほど
女性はおばあさんが電車に乗る時に
手押し車持ち上げるなど
親切に補助してあげて
空席に案内もしてあげたのだろう


しかし 女性にしてみれば
当然のことというか
さほど大したこともしてないので
物品いただくようなことは
絶対あってはいけないことなわけ


そして電車は駅に到着！
まだ先の駅まで乗るようだけど
降りるおばあさんを
手押し車ごと介助してあげる女性


おばあさんは
ギリギリまでお礼のソレを
女性に渡したがっていたけど
とうとう電車の扉が閉まろうとした
その瞬間！！！


なんということでしょう！(@_@)
な、なんと
おばあさんは後ろ手にソレを
車内に投げ入れたのです！


女性も瞬時に
「なんてことするの！」と
驚きながら怒っていました！


ソレ、というのは、
いなり寿司だったのです

5個入りのいなり寿司

包んでもいない いなり寿司
多分おばあさんは
帰ったら昼食にでもと
自分に買ったところだったのでしょう


女性は同伴の彼氏だか夫かに
延々と そんなつもりで やったんじゃないのに
などと訴え話していましたが
拾ったいなり寿司を両手でもって
次の駅で下車していきました


女性はおばあさんに
断固拒否の理由として
この後動物園に行くからと言ってました
彼氏か旦那さんと動物園で
いなり寿司 食べてくれたかな


弱々しいおばあさんが
電車降りる後ろ手に
いなり寿司を投げ込むという
衝撃的なシーンを見てしまい
しばらく頭の中はそのことばかりに


おばあさんにしてみれば
本当に本当に嬉しかったんだよね

女性にしてみれば
ハンカチを落とした人に
ハンカチ落としましたよと
拾って渡してあげるのと同じくらいに
電車に乗るのを手助けしただけだったのに
物品をお礼に渡されて
恐縮しまくったんだよね


「思いやり」の心理 [ 加藤諦三 ]

どちらの気持ちもよくわかるけど
数回断っても更に差し出された場合
受けて取ってあげた方がいいのかな
おばあさんは普段きっと
そんな親切なことしてもらったことが
なかったんだろうね
だからこそ 言葉だけじゃない
何かで更にお礼がしたかったんだよね


おばあさんの気持ちを思うと
その後少しウルウルしてしたりなんかして

物のお礼が欲しくて
親切にしたわけじゃないことは
車内にいた人全員わかってるんだから
女性も数回断った後で
受け取ってあげていたら
おばあさんもいなり寿司投げなくて
済んだんだよね
切ないというか歯がゆいというか
後味悪いというか悲しいというか