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カテゴリ:こんこん飴売り
実はおせん、暑いがゆえのしくじりがございまして あの暑い盛りに限って糠床をかき混ぜるのを怠けちゃったんですよ。 それで、きのうは大変な一日になっちまったのでございます。 おおわらわで白いカビ状の部分を捨て、新しい糠を足しまして ならした糠床の表面に塩をどっさりまぶして手当は無事終わりました。 ヤレヤレと一息ついた、そこへやってきたのが新助。 しゃくれた顎に三白眼、そげた頬がなんだか狐を思わせる男でございます。 新助はおっかさんと二人暮らしで飴売りで生計をたてております。 ところがこの飴は工夫が足りず、たいして美味しくないのであまり売れない・・・ 「姐さん どうにもいけません。このまんまじゃ顎が干上がっちまいます」 「たしかにお前の飴じゃ売れないのも道理だ。なんか工夫がいるようだ・・・ だけど顎のほうはとっくに干上がってるようだけど フフッ 」 「姐さん 軽口は止しにしてくだせえ。あっしは真剣なんですぜ」 新助の飴玉に何か工夫すれば今よりか売れるかもしれない・・・ 考えこんだあたしの頭に浮かんだのは、菊乃姐さんとらかんさん詣でに行った時 あぜ道や道端に生えていた日本ハッカでございました。 第一話 . お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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