[早川FT]スクレイリングの樹/著:マイケル ムアコック
[設定/世界観]★★★★★[文章/表現力]★★★★☆[総合/超主観]★★★★☆「混沌」と「法」が相争う多元宇宙で「宇宙の天秤」守護のため無限の転生と闘争を定められた「永遠の戦士(エターナルチャンピオン)」の代名詞、エルリック・サガの新三部作第2巻です。第1巻「夢盗人の娘」で一件落着しめでたく結ばれたベック伯ウルリックとウーナですが、平穏な生活も束の間、異次元の勢力に拉致されたウルリックを追って再びウーナが旅立ちます。一方、魔剣ストームブリンガーを求めて異次元を彷徨うエルリックもまた、再び己が化身であるウルリックと呪われた運命を交錯させます。狂った野望に駆られ多元宇宙の源たる「スクレイリングの樹」を、ひいては「宇宙の天秤」を脅かす「呪われし者」ゲイナー公子との再戦。そしてニレインの兄弟が明かす「黒の剣」の来歴とは・・・新三部作の舞台はメルニボネ&新王国群でなく二次大戦前後の現実世界なので、物語の主役はエルリックではなく、彼の化身である白子ドイツ人貴族ウルリック・フォン・ベック伯、そしてウルリックの妻でありエルリックの娘(!)であるウーナです。本来の主役であるエルリックは、ここぞと言う時に異次元から召還されて介入する守護魔神のような位置づけだったりします。まぁ似合ってますケド。f(^^;それにしても新三部作、そこはかとなく説教臭いというか、道徳臭が鼻につくような気がします。ウルリック君もてっきりエルリック同様「女殺し」(かつて魔剣ストームブリンガーに操られて最愛の許嫁を自ら手にかけたエルリックの異名の一つ)を襲名するかと思ったのに、ご都合主義的に助かっちゃったし・・・(-_-;