国民民主党・玉木雄一郎代表の魅力と実力をやっと発見
ここ数日、国民民主党の玉木雄一郎代表が、けっこう立て続けにテレビに出ていて、その分かりやすい、立て板に水の雄弁さに驚いた。はっきり言って、よく知らなかった。あの大失敗した民主党政権の残党の片割れぐらいにしか見ていなかった。SNSの発信で、若い世代がつとに発見していたといわれる。おのが不明を恥ずる。すみませんでした。今回の関ケ原の決戦では、自民党のオウンゴール(自爆)の状況があったとはいえ、議席を一挙4倍増まで躍進させた党首は、さすがに頭脳明晰で明朗闊達、親しみやすい快活さがあると再認識、いや、初めて発見した。改めて見てみれば、なかなかの人物なのであった。発言内容も、変に理想論や理念に走らずきわめて現実的・具体的で、じっくり話し合い一定の妥協をすれば、他党も呑み得る政策であると思った。こりゃ衆院選「戦後」も与野党双方から引っ張られて、綱引き状態になるわけだよなと、得心しているところである。さしあたっては、パートやアルバイト従業員への課税「103万円の壁」撤廃問題が最初の大ヤマ・試金石になる見通し。国民党側は自民党に対し、物価スライドで178万円への引き上げを主張しているが、これはちょっと吹っ掛けたなという感じである。実際には、政策協議で140~150万円でも勝ち取れれば、上々吉ではないか。石破政権側がこれを呑めれば、ひとまず政局は安泰になりそうだ。が、これによって税収には大穴が開く(仮に満額回答ならば7兆6千億円の巨額減だという)ことになる。マジかよって感じだ。消費税を凍結するぐらいの、巨大なスケールの話だ。しかもこちらは、恒久的な税制改正である。これは両党だけの話ではなく、財務省などの水面下の強硬な抵抗も予想される「三国志」である。そう簡単に妥結できる問題でないのも事実だ。こういうのって、戦国時代の古い言葉でいえば「調略」だよね。その名人代表は、織田信長麾下時代の木下藤吉郎(豊臣秀吉)だった。黒田官兵衛の助言を聞きつつ、山内一豊をボディガードにつけて、決死の覚悟で交渉に当たった。その交渉力は、のちに「人たらし」と言われた。こういった政局好きの政治家は、与野党を問わず政界に一定数いるといわれるが、彼らにとっては、「俺の出番だ」とわくわくどきどきぞくぞく、楽しくてたまらない局面なのだろうなと想像している。その気分は、分からないでもない。政治家冥利といったところだろう。我々庶民でも、仕事の楽しさ面白さって、けっこうこんな風な不定形なところにあったりする。