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テーマ:サッカーあれこれ(19824)
カテゴリ:イラン代表
47位、それがイランにそしてアジアにつきつけられた現実だ。失望を味わったドイツ大会から、チーム・メッリは立ち直るために何が必要だろうか。懸念の新監督問題ではIFFのエグゼクティブディレクターに就任したダリウシュ・モスタファヴィがマィエリ・コハンの監督就任を要望するなど、イラン人監督を望む声も聞かれればアリ・ハーンや、レネ・シモンエス、フィリップ・トゥルーシエ、さらには前任のイヴァンコビッチまでもが候補に挙げられている。当然新監督にかける国民の期待は大きく、イヴァンコビッチがメンタルの部分でチームの分裂を防げなかったことからイラン人監督就任を望む声が大きいのも頷ける。その一方でヒディングやミラン・マチャラのように確実に結果を出している外国人監督を望む声もある。どちらにせよアリ・ダエイがリーダーとしての影響力を失いかけている混沌(カオス)状態にあるチーム・メッリには強い意思を持ったリーダーとなれる指導者が必要である事は疑いの余地が無い。それは国籍以上に重要視されるべきで、その為には選手の信頼を集める事のできるカリスマ性と、選手に、そしてイランサッカーに愛情を持っている事が必要条件である。そう考えるとこの監督人事は一筋縄ではいかないように思う。
また戦術面では他国と比べイランに2つの要素が欠落していた。それは絶対的なストライカーと強靭なセンターバックである。ドイツ大会を通して素晴らしい戦いを見せた国には必ずと言っていいほどその2つを備えていた。カンナヴァーロ、アジャラ、マルケスといった決して体格を武器にしていない選手達の素晴らしい活躍。特にメキシコ戦でイランはその脅威を身をもって味わった。マルケスは攻守に渡りイランを脅かし、サルシドはイランのワンダーキッドに改めて守備のレッスン不足を痛感させ、オソリオもまた大会を通して陰のMVP級の活躍を見せた。メキシコはほとんどの選手が国内でプレーしており、洗練された連携力がそれぞれの短所を補い合い、長所を生かし合うまでに昇華されたチームにイランがつけいる隙は残念ながらほとんどと言っていいほど無かった。ゴルモハマディが代表を去った今、イランに求められているのは彼らのような守備者である。個人的には大会前に彼は去るべきだと述べたが、それは確かにリスキーではあった。だが韓国の20歳のDFキム・ジンギュが堂々と世界の舞台で躍動する姿を見て羨ましく感じたのも事実である。彼らのような若手に公平にチャンスを与えることは2010年において貴重な財産となるからだ。 レザイーはしばらく代表でプレーするだろうが、2010年に向けて、これからの守備のリーダーに据えるべき人材が24歳のジャラル・ホセイニである事は確かだ。既にU-23ではネコーナム、ルードバリアンを抜いて戦ったスプリング杯においてキャプテンとして優勝に導き、知性、体格、守備力その全てが抜きん出た存在である。ブランコにも一度だけ国内組のみで行われたキシュ島キャンプに召集された経緯があるが、まずは12月から始まるアジア大会でオーバーエイジとして結果を残すことが求められている。そうなれば自然と彼がレザイーの横に納まる事だろう。そしてU-23で彼とコンビを組むシェイス・レザイーも同い年のカービィとは正反対の強靭な体格と守備力、スピード、攻撃力をも持ち合わせたタレントである。さらにはペジマン・モンタゼリ、オマーランザデ、ミルトローギなどが新生イラン代表の守備を形成する可能性を秘めている。勿論ノスラティやサデギ、シャクーリらの中堅組の奮起も必要になるだろう。 そしてもう一つの問題である力強いストライカーの不在であるが、これは言い換えればダエイの後継者が居ないという事である。ドイツ大会でDFの2得点に終わった事実は、深刻なストライカー不足を顕著に示した。強固な守備陣が目立ったドイツ大会においてもルカ・トーニやヤン・コラー、ボルヘッティといったストライカーの力強さはイランには無いものであった。素直に考えればヴァヒド・ハシェミアンとアラシュ・ボルハニが候補に挙がるだろうが、どちらも残念ながら1トップで強豪国の守備に風穴を開けるほどのインパクトは無い。若い頃のダエイのように理屈ではなく、形にこだわらず体でボールを押し込むタイプのハードなストライカーが必要なのだ。オラーディも爆発力はあるが世界レベルではサイズ、実力共に世界レベルに達していないことはバイエルン戦で露呈したし、エナヤティに関しても長身ながら1トップを張るほど強靭ではない。あえて名を挙げればフェリドーン・ファズリやニクバフト・ヴァへディの方が適任かもしれない。実はこのタイプのストライカーが枯渇している事がイランにとって深刻なもう一つの問題であり、欧州や南米と互角に渡り合うためにも2010年までになんとしても解決すべきである。代表引退の声明こそ出していないがダエイというイランの最大の英雄の穴は簡単に埋まりそうにない。 そんな中、レネ・シモンエス率いるU-23代表はサバ・バッテリーとの練習試合を行った。(画像はこちらを参照。)新たに迷将ファーハド・カゼミ率いるサバのキャプテンはアメリカへの移籍が噂されるダエイに代わりベテランで元代表ボランチのヤドラー・アクバリが務め、長髪を切ったサイード・ベイギ、ボスニア人ストライカー、アブディッチと元イランB代表のユーセフィ、ゾハニなどがシモンエスボーイズと激突した。 U-23代表のスタメン ------------Roudbarian Arzani----Sheys----Hosseini---Akbari --------Nekounam--M.Zareh -----Heydari-----------Yavarzadeh --------Khorsandi---Yousefi 一方U-23代表はホセイニ、ルードバリアン、オサスナへの移籍が決定後、帰国したネコーナムがオーバーエイジとして入った。シモンエスはこの3人をイスラム大会、西アジア大会と起用しておりアジア大会でも起用する事はほぼ確実だ。またボルトンのスイスキャンプに帯同しトライアル中のテイモリアンやUAEへの移籍が取り沙汰されているカービィとショジャイーなども本大会に向けて再びチームに加わることだろう。彼らの戦いが新生チーム・メッリの明るい未来を示してくれることを祈りたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.15 20:54:56
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