2014/02/10(月)05:28
ぢい散歩6「奈良・京都スペシャル」:その4「二月堂周辺」
「ぢい散歩スペシャルで奈良へ来ております」
「大仏様にご挨拶しました」
「裏へ回りましょう。まずは手向山」
「歌にありますね」
「そうじゃな……
このたびは幣もとりあえず手向山……
から紅に水くくるとは」
「あれ……後半違ってますよ」
「読んでる人は素人だから大丈夫じゃ」
「じゃないって」
「こちらが鐘。翌日法隆寺へ行くが、実は句を着想したのはこの鐘」
「へえ」
「宿で女中が柿をむいてくれていると、頭の上から聞こえるような音から、柿食へば……という句を得たのじゃ」
「なるほど」
「こちらが四月堂」
「上からの写真……二月堂からですね」
「三月堂」
「はい」
「二月堂じゃ」
「お水取りで有名ですね」
「さあ、上るぞ」
「同じような写真ですね」
「はい、アングルを変えて真下から」
「ううん、どれか一枚でいいんじゃないですか」
「上からの景色」
「大仏殿の屋根が見えますね」
「こちらは多羅の木。この葉っぱが多羅葉」
「まるで蟹ですね」
「固いもので書くと、その部分が時間と共に色が濃くなる。文字を書いて相手に届けたのじゃ」
「手紙ですか」
「葉に書くから葉書、ここから出たのじゃよ」
「へえ」
「さあ、裏参道じゃ」
「裏側からの大仏殿ですね」
「こちらは歌碑。
わが背子と 二人見ませば 幾許か
この降る雪の うれし からまし
途中の空白は改行。歌はもちりん、万葉集の光明皇后の歌じゃな」
「どうしてここに碑があるんです」
「え……次行こう」
「しょうがないね。分からないんですか」
「さっぱり。ただ、この歌は平城京で、夫である聖武天皇が留守にされていた時の歌だというな。まあ、興福寺の五重塔などを建立し、東大寺も彼女が勧めたので……ま、そんなところで」
「適当な解説をありがとうございます」
「はい、そういうことで、初日はおしまい」
「二日目に続く」