2022/10/24(月)05:55
落語「さ」の26:指物丁稚(さしものでっち)
【粗筋】
客が宿にあった品をほめ、それを作った指物師に手箱を作ってもらうことになった。急がせたからもう出来ただろうと、丁稚を使いに値段を聞きに行かせる。指物師は、
「出来てる。日中(ひなか=半日)で作ったが手は抜いてないから安心しろと言うてくれ。値は二朱だ」
小僧、店に帰ると、
「田舎で作ったが手は抜いてないから安心しろと言うてました」
「何、あの職人がいいから頼んだのに……田舎はどこだと言うてた」
「聴いてまへん」
「故郷(くに)聞かせぇと言うて来い」
「へい……指物屋さん、旦那が釘を効かせぇと言うとります」
「うちは釘を使わんのが自慢や。旦那も知っとるはずや、そう言うとけ。うちは釘は使いません、みな膠(にかわ)でございますとな」
「へえ……旦はん、国は三河やと言うとりました」
「ずいぶん遠い所やな……三州やな」
「いえ、二朱でおます」
【成立】
言葉の行き違い。桂米朝が演った。半日の「ひなか」は兵庫辺りでは今でも使われているとのこと。