麺聖のブログ<フェルメール展のチケット争奪戦>
昨日の昼は、香川県立東山魁夷せとうち美術館へ。テーマ作品展の「春 夏 秋 冬ー移りゆく風景」が開催されている。県内に住む年寄りは無料!残念ながら全28点のうち本画は2点だけで、あとはリトグラフとセリグラフのみ。どれもE.A.(Epreuve d’Artiste/作家保存版)とH.C.(Hors Commerce/非売品・見本)だ。こうして見ると、やはりセリグラフの色は鮮やかである。魁夷の奥様から版画の寄贈を受けて造られた美術館なので、元々集客は考えてもないのだろう。惜しむらくは、寄贈を受けた際、著作権に関して「美術館の作品を自由に撮影して良い」との契約を交わしておくべきだったな、と思う。瀬戸内海に架けられた瀬戸大橋を眺められる静かな環境で、これぞ美術館!と言いたくなる空間だ。個人的には昔に県会議員が要望してたように沙弥島が島と分かるように運河掘って欲しかったなぁ〜。さてさて、今年の美術界一番の話題といえばこれだろう。天皇陛下も先日、公式訪問中のオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館でオランダ国王陛下の案内で鑑賞されたフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』が、この夏、大阪にやって来る。私はかつて『青いターバンの少女』と呼んでいた展覧会で見た記憶がある。調べてみると、来日は1984年、2000年、2012年に続いてこれが4回目だそうだ。そう呼んでいた頃を知ってるので一度以上は目にしているはずだが、「また見たい」と、チケットぴあの先行抽選に申し込んだ。しかし、結果は敢えなく落選。平日枠での落選に、この段階で今回の争奪戦の厳しさを予測すべきだった。15日はJR西日本の先行販売に望みをかけ、発売開始時刻の正午直前からアプリで待機した。ところが、アクセスした瞬間にサーバーから拒否される。1時間ほど格闘してようやく繋がったとき、画面に表示された待機列は、なんと「前に92,998人」。発売枚数にもよるが、この時点で「多分無理だろう」と察した。その後も列の進み具合を観察すると、ペースは1時間にわずか2,000人。この速度では、自分の番が来るまでに丸2日はかかる計算だ。このシステムで販売出来ると判断した企業と、そのシステム責任者に根拠を知りたいし、良識を疑いたくなる。夜になってもペースは上がらず、「通知後30分経過でアウトになる」というルールのメールが来るとしても、「早くても明日の昼以降だろう」と安心して眠りについた。早朝にふと目を覚ますと、すでに「売切れ終了」の文字。様々な情報から考察するに、12時ちょうどに即繋がった幸運な人しか買えなかった模様だ。買えなかったこと自体は、希望者の多さを考えれば仕方がない。しかし、延々と並ばせた挙句、最初につながった人しか救われないシステムはあまりにも酷だ。システム不具合で決済できなかった人も多かったと聞く。ぴあの抽選時の高倍率を見れば、自社サーバーで捌ききれないことなど容易に予想できたはずだし、急な抽選への変更が無理だとしても、「全期間一斉ではなく1週間ごとの分割発売にする」「先行枠を多く割り振る」といった対策は打てたはずではないか。当日は販売数が分かっていたのだから、並んだ人数と1人当たりの購入枚数から、早々に完売終了させるべきだった。(大阪市立美術館のアトラス展にて撮影2026/01/08、像の周りどこからでも鑑賞出来た)昨年末から今年の初めに開催されてチケットがすぐ売り切れたことでも有名になった大阪市立美術館の万博記念特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」でも感じたことだが、昨今の美術展は「美術を鑑賞する場」から、一種の「イベント」と化している。立体物の展示であれば四方から眺められるからまだ良いが、絵画、それもフェルメールの少女となれば、日時指定であっても「少女の部屋」に入るのに何十分も並んだ挙句、作品の前を急かされて通り過ぎるだけで終了する未来が見える。特に今回の会場となる大阪中之島美術館はやや手狭で、動線が悪い印象も否めない。そもそも、どこに待機列を作れるのだろうか。ネットに主催者と販売者の謝罪が掲載され、6月中に販売方法の再検討がなされるそうだ。どうなるか見ものだが、東京で開催しなかったのが敗因の一つだろうが、会期延長が出来れば少しは緩和される。会期の延長が難しいのであれば、というか延長しても期間中は毎日夜10時まで開館時間を延長し、入場枠を5割程度は増やすべきだと思う。朝の時間も延長したいところだが、これは「朝イチの静かな環境で対面したい」とチケットを入手した人から反発の声が上がるのが分かるだけに採用しづらい。若干開館時間を早めることで混雑を解消するのがベターであろう。経費増は入場料とグッズ収入で確実に賄える。グッズ販売は数量限定ではなく注文を受けるという方法(受注生産)にすれば、転売ヤー対策にもなる。会場の混雑緩和のため、送料は必要だがネット販売でも良いと思う。これだけの需要と、熱量を持ったファンがこれほど期待している、それに加えて今上陛下がオランダでご鑑賞なされた絵という反響が大きくなり間違いなく見たい人が増えるだろう、主催者側からの、納得のいく検討結果を待ちたい。(2026年6月30日追記)フェルメール展主催者から発表があった。◎tabiwa先行販売で買えなかった人の救済はシステム上出来ない。◎一般販売における先着販売を取りやめ、全会期分の通常券(日時指定制)の抽選販売をチケットぴあにて行う(7月14日から7月21日まで受付)。◎当日券の販売はしない。 残念ながら、会期延長なし。時間延長は前半の特定日と後半のみ。これで多数の見たい人の要望に応えられるのか。絵画環境・館の維持等の運営上の問題はあって可能な限り全会期の時間延長に近づけるべく所蔵美術館との本気の契約変更交渉を行うべき。