杭の牛市跡
昨日の続きで久井町について紹介します。以前にもブログで紹介しました「杭の牛市跡」改めて紹介します。久井町の室山に杭の牛市跡の石碑があります。今から千年も以上の昔、天慶5年(951)に大田の庄の牛馬商人群兵衛が、杭の庄の牛馬商人勧左衛門に牛一頭を売り、その取引を稲荷神社神域の、ここ杭の室山(亀甲山)行われた。勧左衛門が買った牛は、それ以来成育がとても良く、これは神様のおかげによるものと信じ、仲間に対し杭の室山(むろやま)で引き継ぐをすることをすすめたところ、室山で牛馬の売買をする者が次第に多くなっていった。応和元年(961)には、室山に大仙大明神を祭り、また、牛や馬をつなぐ為に日向松を沢山植えた。そして応和3年(963)に近郷の牛馬商人が数集まり盛大の牛の供養を行った。その時多数の牛が売買されここに「杭の牛市」が始まり、それ以来毎年10月、11月、12月に定期市が開かれるようになったと伝えられる。延宝8年(1680)には、杭の牛馬市は広島藩の公認となり、藩の保護のもとで一段と盛んになり、中国・四国地方はもとより、近畿・九州・北陸地方からも商人がおおぜい集まった。この頃から杭の牛馬市は、豊後(大分県)の浜の牛馬市・伯耆(鳥取県)大仙の牛馬市と共に関西三大市場の一つとして、広く知られるようになった。杭の牛市には、昭和の初め頃まで一万数千頭の牛が集まり、大変な賑わいであったが、戦後農作業が機械化されるとなど、急激な社会情勢の変化とともに、段々と衰え、昭和39年に千年以上も続いた歴史を閉じることになった。しかし、永い間栄いた杭の牛市が、我が国の畜産業界に果たした功績はきわめて大きかったので県の史跡に指定された。室山には大正13年(1924)に建てられた「久井牛馬市記念碑」もあります。