カテゴリ:カテゴリ未分類
機内から、ひときわ私の目を惹きつけたのはアムール川。
黒々ととぐろを巻くように、太い流れをうねらせながら。 まるで、地を這う竜のような力強さ。 中国語の黒龍江とは、まさにその姿を表す言葉。 長さ、面積ともに世界の川の十指に入る大河です。 私の川の概念を覆し、そこここに大きささまざまな湖沼をかかえ、 湿地のようにも見える草原の中を、アムール川はオホーツクまで流れていきます。 川が私の概念を越したように、 ハバロフスクでであったロシア人たちも、 私の概念にはない人たちでした。 少なくとも、物を売りたい人は、買おうとする人には愛想よく、 いや、たとえ、愛想はなくとも、買ってほしいという意思表示があってしかるべき。 それは、私が勝手に持っていた商売の概念だったらしいのです。 社会主義の影響を色濃く残した、ここロシアでは、 ”買いたいの? そんなに買いたいなら、売るけど。” が、当たり前。 いらっしゃいませの挨拶に変わるものはなく。 それ以前に、お店の目印、看板さえなく。 本屋の中は薄暗く、大きなバッグは疑われて預けさせられます。 夫は買おうとしたマトリョーシカが開かないので聞いてみると、 ”私はお金を受け取るだけだから、商品のことは知らないから” と、言われました。 洋服の試着をしようが、店員は奥のいすに座ったままじっと見ているだけ。 ”いかがですか?” とか、 ”似合いますよ。” の声かけももちろんなし。 私の友人の販売員育成には定評あるH子さんが見たら、目を向くこと間違い無しの風景です。 道行く人たちも、全くの無表情で歩いています。 ためしに、知らない人に微笑みかけてみよう。 試した私がオオバカでした。 ”なに、このにやつく東洋人。” とばかりの冷ややかな目。 それは、本当に氷のように冷ややかなロシアンブルーの瞳。 友人に聞くと、ロシア人は知らない人と目が合ったとき、決して微笑んだりはしないそうです。 概念にないから。 なんで?と、ロシア人に聞いたら、 ”なぜ? なぜ、知らない人に笑わなくてはいけないの? それは何の得になるの?” 逆に聞き返されたとか。 こんなに違うんだ。私の知ってるガイコク人と。 正確にはアメリカの人と。 根本的な違いを初日から感じつつ、 私はそれから、ロシア人の本当の温かさ、懐の深さを知ることとなるのでした。 つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 24, 2005 04:30:17 PM
コメント(0) | コメントを書く |
|