カテゴリ:絶滅危惧植物(稀少植物図鑑)
友人Mからバイカモの情報を得たのは、丁度1年前、学生時代を通してシダ植物の調査に何度も訪れているこの地域に珍しい植物が自生する事等全く知らなかった。昨年、サクラのブログを挙げた時、バイカモとハリヨの話を聞く事が出来た。友人Mはハリヨの事をハヨリと常に言って居る。何でも先祖がこの辺の出身らしく、良く知って居た。知的好奇心が湧かない筈も無く、バイカモの正体も事実気に成っていた。NHKの番組でバイカモ、ハリヨの映像は見た事が有ったが実際に目にする機会も無く、どの辺に自生するのかも知らずに居た。植物愛好家にとっては、何とも心もとない。今年は何としてもと言う気持ち一杯だった。漸く念願が叶いバイカモの写真をブログに掲載する事が出来た。でも文章が出て来ない。訪れたのは7月27日の金曜日、もう2週間が経とうとしている。簡単に文章が書けて居れば今頃に成る事は無い。ばらばらな文章で、区切りを付ける事にした何を書いて居るのかも全く不明な文章で、これほど難産だったのは久しぶり文才の無さを思いっきり暴露する結果を許して欲しい。 バイカモは清流に自生するキンポウゲ科の多年生草本だ。藻と言っても、海藻の類でも無いし、勿論、珪藻の様なプランクトンでも無い。列記とした種子植物。水中を生育域にしたものに藻という呼称を和名に付けるのが、可成有る。有名なところでは、食虫植物のタヌキモが同じ様な名前の例示に成る。7月~8月初旬にかけて、一斉に花を咲かす。水中に咲く場合も有るし、水面に花だけをぽっかり浮かべて咲かせる場合も有る。白色で中心部分の蘂の部分は黄色、梅の花に似た花を咲かすのでこの名が有る所以。キンポウゲ科の植物は春に咲くイチリンソウ、ニリンソウ、毒草で有名なトリカブトの一群等、温帯要素の植物の一群で多数の属が有り、美しい花が沢山見られる。また、植物体に有毒物質のアルカロイドを持つものが多く、食用には向かない科の特徴なのだが、なんと、このバイカモは食用に成るという。どのように食べるのかは分からないけれど、ジュンサイやモズクの様に一寸ヌルっとした食感が有るらしい。 流行のコラーゲンなのか、湯がくと緑が鮮明に成り、酢の物にして、花を一輪浮かべて小鉢にして食に供されたのだろう。何せ中山道の宿場町、風情を楽しむには得難い一品に成って居たに違いない。今は、厳重に保護され採集等許されない状況で、食用に何か出来る筈が無い。それで無くても、この植物の近縁種は全て絶滅危惧種に指定されているからだ。 環境の変化、特に水の汚れに敏感な植物、環境指標生物で清らかで冷たい冷涼な水温を好む。そういえば、醒ヶ井は霊仙山を源流として2つの谷間から比較的近い位置に有る用水路だ。丹生川と呼ばれる川から引かれた用水路、上流域に耕地は少なく、昭和30年以降の高度経済成長期と農薬による省力化農業の影響を受けずに済んだ事、民家の中を流れる水路なのに、住民の環境意識が高く家庭雑排水が流され無かった事、町のシンボルとして大切に保護されてきた事が現在まで生き延びて来た理由なのだろう。水路には、プラスチックゴミ等全く見られない。三重県の河川とは大違いだ。水路には、ゴミが散乱し、空き缶やペットボトル、ビニール袋が溜まって居る。家の中のゴミは早く棄てたい。けれど道路や側溝のゴミは気にならない。兎に角、自分の家だけが綺麗ならば良いと思っているらしい。三重県民の環境意識の低さが浮き彫りに成る。滋賀県は全国でも有数の教育に熱心な県だ。県民性の違いと言ってしまえば、見も蓋も無いが・・・私の住む四日市市は公害の町と全国に知れ渡って居るが環境意識は何故か希薄だ。 植物学的な話題を書こうと思う。この植物の一群は、キンポウゲ属、バイカモ属のどちらかに帰属する事によって学名が異なる。全般的に言える事は日本の植物学界は種の細分を余り良しとしない傾向に有る。故に、多くの文献はキンポウゲ属に帰属させた学名が一般的だが、学名の採用は学者の見解によるもので、僕の様な素人が言及する立場に無い。でも、やっぱり、学名を記述する事は大切だ。だから、下記に近縁種を含め日本に自生する植物の一覧を附する事にする。 もう一つ、この地域には、清流にしか住めない珍しい魚が分布している。こちらも、当然、絶滅危惧種である事に間違いない。その魚は、トゲウオ科のハリヨという魚だ。滋賀県の東部と岐阜県の南西部、そして、かつては三重県北部の員弁川上流、真名川に生息していた日本固有の魚、世界の何処にも居ない珍しい魚が今も生息している。奇跡としか言いようの無い。これも、バイカモをねぐらに今も手厚く保護されて居る。残念ながら写真が無い。パソコンの検索エンジンで検索すると、醒ヶ井を含め、この魚が生息する地域のホームページに写真が掲載されて居る。興味の有る方は、調べて貰いたい。参考写真を何枚か自分のパソコンに保存したが、著作物を勝手に掲載する事は許されないし、今や採集も出来ない状況なのだ。この仲間も絶滅危惧種として何種類かが日本に生息している。イトヨ、ハリヨ、トミヨという魚達で、日本、朝鮮半島、中国、ロシア等の温帯、寒帯に分布している。こちらも一覧にして下記に掲載する事にする。 今や、日本の環境はボロボロで豊かな自然を残す所も数少なく成った。地球温暖化の原因となる二酸化炭素の削減も間々ならず、京都議定書を批准した日本も今では、10%以上の二酸化炭素の削減をしないと、国際的な批判は免れない状況にある。それでも、新聞は、何故か厳しく指摘しない。アメリカが批准を拒んで居る事、中国、ロシア、そう言えば、京都議定書を批准しなかった国は、当初、アメリカ、インド、中国、オーストラリア、ロシア位だったかな。アメリカは別として中国が批判されて居る事は余り納得が行かない。確かに、中国の影響を日本はエチゼンクラゲで諸に喰らって居るけれど、中国全体から見れば、未だ未だ、中国全土に電気が通って居る訳でも無い。そう言う意味では発展途上に有り、電気の無い生活を強いる事等出来ない。日本の様にどんな山の中の集落にも電気が通じ、TV電波や携帯電話の電波塔が立っている国とは訳が違うのだから、少し値引きしなければいけない。日本が議定書の基準数値をクリアー出来なければ、国際的批判に晒され、孤立の道を辿る事に成る。技術も知識も有ってもそれを活かす事が出来ないのは、やっぱり環境意識の欠如としか言い様が無い事実なのだ。 アメリカも槍玉に上がって居るが、あそこの国は、何処かの金魚の糞の様な国と違って、自国の利益最優先を自らの思想としている。それでも、フロリダ半島を襲ったハリケーン。カタリーナには随分ショックを受けたらしい。政府は相変わらず、自国の利益主義に傾いてはいるけれど、多くの科学者は可成まともな意識を持って地球温暖化の危機を研究もし、訴えているそうだ。(岩波・科学7月号特集)日本でも、人為的温暖化に否定的な見解を示す科学者が居るそうだ。懐疑派と呼んでいるらしい。どんな意見を言っているか。太陽活動が原因とか・・色々有るそうだが、きちんと論理的に証明してくれる人は居ないらしい。IPPC(?)の第4次の報告が発表された。この200年の二酸化炭素の異常な上昇は人為的なものとはっきり認知された。そして今後100年は増加の一途を辿る事になる。アイスランドの永久凍土やロシアの永久凍土が融け、南極の氷河が融け、ツバルは海に沈み、日本は亜熱帯地域の仲間入りになる。そして、マラリア、コレラ、ラッサ熱などウイルスによる感染病・細菌、真菌による病気が蔓延するに違いない。亜熱帯、熱帯故のリスクをまるで無頓着に思っていたら、人類の滅亡を早めるだけだ。 前置きが長く成ったが等倍で写しだされた大きさの写真を何とか掲載したいと考えた。私のブログの写真の大きさは560×400だ。パソコンには、色々な画像ソフトがインストールされて居る。数えて見ると結構な数に成る。アドビのフォトショップエレメント、ソースネクストのドローグラフィック・ペイントグラフィック、フリーソフトのピックベアー、ピクシア、縮小専用、RCKP、そしてWindows付属のペイント等々、夫々使い勝手が有り、重宝している。それらのソフトで加工したり、彩度を上下げしたり、トリミングをしたり、コントラストと調整したり、不要な物を消したり、サイズダウンしたり、でやっと作品が完成する。下の写真は上の写真の1部を等倍にして実際に100%で写しだしたバイカモの写真だ上の写真と見比べて欲しい。 最近入手した多くの書籍はバイカモをキンポウゲ属に所属させている。以下に学名を記す。 キンポウゲ科 キンポウゲ属のバイカモと近縁種 バイカモ(梅花藻)Ranunculus nipponicus var. submersus 別名:キンギョモ、ウメバチモ、カワマツ、ウメゼリ イチョウバイカモ Ranunculus nipponicus var. nipponicus ミシマバイカモ Ranunculus nipponicus var. japonicus ヒメバイカモ Ranunculus trichophyllus Chaix var. kazusensis (Makino) Wiegleb バイカモ属に所属させた場合は次の学名が採用される。 バイカモ Batrachium nipponicum var. major ハリヨの写真は保護地域故に採集して写真で紹介する事が出来ない。以下トゲウオ科の魚類を示し、下記にリンクを貼る事にした。参考と言う事でご了承願いたい。 トゲウオ科ハリヨと近縁種 ハリヨ Gasterosteus microcephalus 地方名:ハヨリ イトヨ Gasterosteus aculeatus トミヨ Pungitius sinensis キタノトミヨ(イバラトミヨ)Pungitius pungitius エゾトミヨ Pungitius tymensis ムサシトミヨ Pungitius sp. ミナミトミヨ Pungitius kaibarae ※1960年代までに絶滅 参考リンク(トゲウオ科魚類図鑑) 琵琶湖博物館(展示室案内)水族トピック展示 岐阜大学教育学部理科教育講座(理科教材データーベース)魚類図鑑 Aug.08.2007 中仙道、醒ヶ井宿のバイカモ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 8, 2007 03:25:26 AM
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