【連載子ども百景67】日の丸弁当
【連載子ども百景67】日の丸弁当 『週刊20世紀』昭和13年(1938) 朝日新聞「歴史をあるく」 一部加筆 山梨県 山口素堂資料室 日の丸弁当 1937(昭和12)年、文部省は「国体の本義」を編纂刊行し、全国の学校などに配布し、天皇を絶対的な君主とする国体を明らかにし、子どもたちに天皇の臣民としての忠誠心を教育しようとした。 同年7月、日中戦争の戦火の始まりを契機に、軍国主義的傾向はいっそう強まり、「尽忠報国」「挙国一致」「堅忍持久」を三大スローガンに国民精神総動員のキャンペーンが繰り広げられた。9月、内閣情報部は、国民歌「愛国行進曲」を公募、当選歌をレコードやラジオで広めようとした。「見よ東海の空明けて、旭日高く輝けば……」で始まるこの歌は、そのテンポの速い明るいリズムが子どもたちにも受けて、よく歌われた。もっとも、子どもたちは「見よ父ちゃんのはげ頭」などと替え歌にして楽しんだりもした。