早乙女 南風一
世は梅雨時なので
水を張った田んぼでは田植え機が植え損ねた稲を
ご婦人たちが手で植えていく
昔 上司に女性社員の名前を訊ねられて
かくかくしかじかの容姿をした女性だと教えた
そのとき「美人」と表現したところ
その上司はニヤニヤして「南風の審美眼は大分ずれているんじゃないか」と
笑った
俺の審美眼はそんなものかも知れないけれど
名前のとおり早乙女は
ジーンズを膝まで捲り上げて
まばゆいばかりの白いふくらはぎを晒して
稲を植える
その姿を見れば
どんな容姿の女性であっても
遠目の美しき姿かな
古来大和民族の血が絶えることなく
東洋の辺境孤島に脈々と受け継がれたのも
こういう稲作栽培のもたらす美的感覚というものが
影響したのではないか
稲作を推奨すれば
世の未婚女性や未婚男性の結婚率も上昇するのではないか
そう無責任に想像する
(詩集の宣伝)
「どこにでもある光景」3月26日発売。
購入は、
こちらからどうぞ
詩が良かったと思う方は
人気blogランキング