南風一の世界

　　　雨の空間　　　南風一


フロントガラスにバケツの水をひっくり返したような飛沫がぶちあたって

それでも車の中は

何事もないような雨の中の静けさ


俺が座っているのは

ただ飛沫に洗われる車の狭い空間

それにもかかわらず

この空間はまっすぐにきみの住む空間へ

つながっていると錯覚する


だけど今日は週末

きみは夫や子どもたちと

団欒のときを過ごしている


空想の世界では

いつも俺に微笑んでいるはずなのに

例えばメールを出したところで

今日は歓迎されないね

今度はいつ微笑んでくれるのかな？

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