ひとたび 南風一
一昨年は恩師の退官祝いがあって
卒業以来、数十年ぶりに顔を会わせた旧友たちもいた
年末には遠方から友人が帰ってくるから
忘年会をやろうという誘いがあったけれど
出なかった
昨年は誘いがなかった
今年も誘いがない
それはそれでいい
同窓というだけで群れる必要はないし
集まったからといって
話すことがそうそう新しくなるわけでもない
懐かしさだけで楽しく過ごせる時間なんて
短ければ短いほど
価値がある
あれほど会えるか話すことを熱望したきみに対してだって
ひとたび話してみれば
心の中で
「なんでこんなにどうでもいいことばかりを話しているのだろう?」
「他にもっと話すべき話題があったはずなのに」と焦っている一方で
「こんなにありふれた話題で退屈するくらいなら話さなかった方がよかった」と悔やんでいた
話す前には
好きだったきみの声を聴けることを
あれほど楽しみに待った俺だったのにね
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