雪模様 南風一
魅力の秘密は希少性にある
だからやたら露出性があったり
いつでも会えるというのでは
なかなか魅力も高まらない
今日も雪が降って
出かける前から調査作業がないだろうことは
想像がついた
それでもきみに会いたいから出かけて行った
案の定 発掘調査は中止だった
ほどなくきみもやって来た
作業が中止でも一般向けの研修会が開催されるとのことだった
俺は予約もしていなかったので
参加しないことにした
きみは通常調査員なんだから参加してもいいのよと言って
参加するらしかった
俺ときみの他にもボランティア調査員が2名ほどやって来た
きみの心はこもっているのだろうけれど
専門調査員とボランティア調査員は等しくバレンタインチョコを貰った
きみの心使いはありがたいと想う
でもそのマメさは調査員全員に対する思いやりだし
きみが根掘り葉掘り問いただす仕草は
きみが興味を持っている事実の裏返しにしか過ぎない
きみは専門調査員から訊き出したいわれある井戸を実際に見に行くのだろう
そんなことに夢中になれる時間があるのだから
きみの興味の在りどころはそこにはあっても
男とか俺とかには全然ない
なんかアホラシくなってきて
俺はそそくさと引き上げて帰った
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