南風一の世界

　　　　心変わり　　　　南風一


沈丁花が盛りを過ぎて

香りも心なしか薄まった

地元の高校入試の合格発表のニュースを見て

俺にもそんな頃があったなあと想う


あの頃から何が変わっただろう？と想うけれど

中身は何も変わっていないのに

外見だけ白髪が増えて年寄りくさくなってきた


あれから３５年

１年１年春を迎えている分には

３５年も経ったような気はしないけれど

確かに３５年は過ぎたのだろう


これから３５年も生きることはないだろうから

春は無限にやってくるように錯覚するけれど

３５回目あたりには俺は多分死んじまって

この世にいないだろう


昨年連絡がついたきみは

当初携帯番号を教えてくれたりメールを送ってくれたりして

随分期待を抱かせたのに

１年が過ぎてみれば

メールアドレスが変わり携帯は不通


どんな心変わりだったのかな？

俺は最初から最後まで同じだったつもりなのにね

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