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南風一の世界

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2011/10/15
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   瓦職人    南風一


文化財専門員に見てもらったら

確かに廃寺の瓦に間違いないという


廃寺は軒丸瓦と礎石が見つかったことから

おそらく存在したであろうと言われている幻のお寺

いまだ発掘されていないから

本当に存在したものかどうかは不明


それにもかかわらず

1300年のときを隔て

古瓦の破片は道端に無造作にころがっている


1300年の間には

幾度の旱魃や台風

暴風雨や火事や戦乱を見てきたことだろう


瓦を焼いた人も

瓦を寺に寄進した人も

寺に住んだ人も寺に集まった人たちも

みんな消えてしまって

割れた瓦片だけが21世紀の今に残る


こんなに後世まで残って

風雪に耐えるどころか

自分が作った瓦がこれほど長く現存し続けるなんて

当の職人は天国で随分おったまげていることだろう

 

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Last updated  2011/10/15 11:02:03 PM
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