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南風一の世界

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2011/12/11
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カテゴリ:カテゴリ未分類

   皆既月蝕    南風一


忘年会というのに

きみは車で来たという

最初から飲むつもりじゃないんだ


俺が言葉を失くしていると

隣りのボランティア仲間が「目的があるんですよ」という

俺は「もしかしてデートかな?」と余計な不安が頭をよぎる


案に相違してきみは「皆既月蝕」を見に行くという

11時から12時までのたった1時間のために

コテッジまで予約したという


うーん

興味のまま

気の向くままに

家の掃除とか家事を省みることなく

小娘そのままに振舞えるなんて

きみはなんてお気楽な幸せ者だろう


いつまでもそうやって楽しく遊んでいる分には

それ以上愉快なことはないだろうけれど

結婚というのはそういうもんじゃないだろう

楽しくないことでもやっていく


俺はこれまで楽しくもないこともやってきたから

残りの人生くらいきみのような女性とお気楽に遊んでいたい

(それではきみが結婚する意味がなくなってしまうのだろうけれどね)


忘年会の帰り際

ボランティア仲間から「南風さん 早乙女さんのこと好きなんじゃないの?」と

訊ねられた

「もちろん!プロポーズまでしましたよ

 でも若い人がいいのよね?」

きみに水を向けると

きみは「そう」と軽く受け流している

 

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Last updated  2011/12/11 10:38:01 PM
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