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南風一の世界

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2021/02/11
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カテゴリ:経済と社会
  マイナス金利の責任は誰がとるべきか?   南風一

2月10日朝日朝刊に「マイナス金利5年泣き笑い」という記事の中に
黒田東彦総裁の「効果が副作用を上回ってきた。従って続けてきたということ」
というコメントが載っていた。

黒田総裁がいう効果の射程範囲は金融経済に限定されるのだろう。
効果の範囲を、財政収支や勤労所得、消費者物価、税収、勤労者の
住宅ローン負担、年金額まで広げると、
恐らく効果は「マイナス」と評価した方がいいのではないかと思う。

コロナ禍は想定外ではあったと思うが、
私は政府が進めるコロナ対策緊急小口融資を取り扱う窓口に勤務する。

昨年3月以降の緊急小口融資の受付をしていて思うのは、
今日の生活資金に事欠く人たちにとって、
そもそも預金がないからマイナス金利政策は無関係である。

また住宅ローン金利が低かろうが、所得が低すぎて
住宅ローンなど組めるわけがない。
生活費を穴埋めするカードローンのキャッシングの金利は依然高い。

OECD統計によれば日本の勤労者実質平均賃金は
1990年以降の30年間ほぼ横ばいで
2019年は35か国中24位であり
日本は最早平均賃金が高い国ではない。

麻生財務相がいうには、昨年国民に給付された10万円の特別給付金は
大部分が預金として積み上がったという。
他方で、金融庁は投資信託を進めるので、
特別給付金を元手にネット証券取引を始めた人もあるという報道がある。

余りにも長いマイナス金利政策は、
国民の道徳観にも悪影響を与えていると思う。

昔は貯蓄が推奨され、今は貯蓄が悪とばかりに、
安い金利で借金するか、
リスクを負って利益を稼ぐ証券投資の方が推奨される。
これでは、汗水たらして事業の種銭や住宅ローンの頭金を
蓄えようとする堅実な国民は消えてしまうのではないか
と危惧する。

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Last updated  2021/02/11 04:01:23 PM
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