カテゴリ:ジョギングとは、自己と世界と対話すること
時刻は5時30分、辺りはまだ深い闇に包まれていました。 そろそろ東の空から白々と明るくなってもいい頃なのですが、どうやら朝陽は雲に包み隠されているようです。 自宅前の路地に人影はなく、電灯の明かりだけが煌々と輝いて見えます。 長袖シャツにハーフパンツといういでたちで、まだ寝静まる住宅街を走り出しました。 このところ朝晩の冷え込みが少しずつ厳しくなり、本当なら上下をすっぽりと覆うウィンドブレーカーを着るのがいいのでしょう。 しかし、どの学校にも必ず一人はいる健康優良児よろしく、薄着で冷気をひしひしと感じながら前へ前へと進んでいきます。 15分も走れば全身に熱が宿り、寒さなんて忘れてしまうはずですから。 そう言えば、気温の低下とともに、すれ違う人たちの数も少なくなっているような気がします。 ちょっと前までなら犬を連れて河原へ向かう人たちをよく見かけたものですけれど、今ではこの道を往く者はわたしだけです。 薄闇のなかで安らぎを与えてくれた金木犀の匂いも、いつしか立ち消えてしまいました。 大きく息を吸い込むだけで目の奥がじ~んと温かく感じられ、とても気に入っていたのですが・・・。 季節は着実に移ろっているのですね。 住宅の間を縫うように駆け抜けて、河原にやって来ました。 遮るものがなく光が豊富なはずの河川敷も、今朝は薄闇が居残って、ベールのようにくぐもって映ります。 視界が不鮮明な代わりに、じゃり、じゃりっと砂を踏みしめる音が一際鮮やかに響いて、その足音がメトロノームとなって呼吸のリズムを作ってくれます。 時折両腕をぐるりと回し、ふぅっ~・・・と吐息を漏らします。 そうすると、体内を巡る血液が一段と勢いよく流れ出し、滞っていたところにも行き渡るのです。 とその時、大きな冷凍庫の扉を開いたような、重たい冷気がふっとこちらに吹き寄せてきました。 程なく元のやわらかい空気に戻ったのですけれど、次の瞬間には再びひやりと肌を刺すような一群の風がやって来ました。 どうやら、河原には寒暖の空気の塊が入り混じっているようです。 前方の空はのっぺりとした灰色の雲が横たわり、その向こうに太陽の気配を感じ取ることができます。 その雲が切れた辺りはうっすらとオレンジ色に染まり、さらに目線を上げていくと一旦は白色になり、あるところからは海のような青色がどこまでも広がっています。 「朝陽が現れるのは、時間の問題なんだけどなぁ・・・」 目もくらむような強烈な光線を浴びながら、めらめらと燃える朝陽を目がけて走りたいのですけれど、それは叶いそうにありません。 しかし、見えないけれども太陽は刻々と上っているのでしょう、辺りの薄闇は次第に溶けてゆき、あらゆるものがそれぞれに固有の彩りを放っています。 たった15分くらいの間に、世界はその容貌を劇的に変えました。 そして、ついさっきまで感じていたしびれるような寒さも、今はもう感じられません。 わたし自身の感覚も、世界が光に包まれるのと同じように、大きく変化を遂げてしまったようです。 世界も自分も、刻々と変わっている。 そんな実感が、沸々と湧き上がります。 「今日という一日を生きるなかで、わたしはどれだけ変わっていけるだろう?」 そう思うと、茫漠とした希望みたいなものがこみ上げてきて、行く手に何が待っているのか楽しみになります。 晴れやかな気持ちを胸に抱きながら、川沿いの道を駆け続けました。 今日もいいスタートを切ることができて、感謝します。 ありがとうございました!! 【三文日記】 急なことなのですが、明日東京ドームへ駆けつけ、プロ野球クライマックスシリーズ第2ステージを観戦することになりました。 妻がチケットショップで安価な入場券を見つけ、即決で購入した模様です。 オレンジ色のマフラータオルと原監督のユニフォームを、こっそりと会社カバンに忍ばせていきます。 ●今日の天気 晴れ。 ●今日の運動 ジョギング30分。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/10/23 05:52:06 AM
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