どんよりと くぐもった空の その奥に・・・
目を開けていられないほどの鮮烈な陽光が、こちらに向かって一直線に射し込んできます。まるでわたしに狙いを定めているかのように、熱を帯びたその光線は確実に標的を捉え、肌を焦がします。こんな完璧な夕陽を浴するのは、いったいいつ以来のことでしょう?にわかには思い出せないほど、くぐもった空ばかり眺めて暮らしていたような気がします。空の一部はうっすらと蒸気が煙っているものの、その向こう側には淡い水色が透けていて、それ以外の大部分は現実味を欠いた青色が広がっています。空の青さも久しぶりで、眼がうまくその色を受け容れるまでに少し時間が必要でした。眼が、その色を忘れていたのでしょうか?ふと周りを見回すと、忘れてしまっていたのは、空の青だけじゃなかったことに気づきます。決して一様ではない、個性ある雑草の緑色のことも、地面にありありと浮かび上がった影のことも、熱を奪い取ってどこかへ往ってしまう夕風の心地よさのことも、しばらくの間わたしの意識から忽然と忘れ去られていたのでした。もしも曇天の日がいつまでも続いたなら、きっと太陽が輝いていた時のことなんて、すっかり忘れてしまうのかも知れません・・・。悲しいかな、人間というものは目先の物事に取り込まれてしまうと、そこで体験することに飲み込まれてしまって、いつしかそれ以外のことに思いが及ばなくなってしまいます。自分で思っているより、この世界はもっとずっと遠大で多彩なのに、目に映っているものしか意識に上らないのです・・・。好いことも、嫌なことも、わたしたちは日々色んなことを経験して、かけがえのない一日一日を紡いでいきます。もちろんその場その場で遭遇することをしっかりと受け止めて生きていくことは大切なことだけれど、それだけではやっぱり寂しいのではないでしょうか?もしも毎日が吐いて捨てたいだけの無意味な時間にしか感じられないのなら、それはきっと人生の一つの側面にしか目を留めていないということでしょう。本当に眼を開くことができれば、そこには知覚するだけではない、もっと深みのある世界も感じ取れるのだということに気づくはずです。そう、わたしたちは目の前の物事を目に映しているけれど、たいていは目に映しているだけなのです。人間には、見ているものの奥にみずみずしい世界を想像する力が具わっているのに、それを用いることは少ないものなのです。「このままじゃ、いけないよな・・・」梅雨の晴れ間の夕暮れに、自らを省みて思いました。日々出会う物事の中に、何を感じ取ることができるでしょう?通いなれた通勤路に、見上げた空に、手に取った本の活字の中に、家族や職場の同僚とのふれあいのなかに・・・。漫然と眺めているだけでは見過ごしてしまう大切なものに、思い及ばすことのできる人になりたい。そんなことを願いながら、河原の遊歩道を駆けていきました。今日も健やかに過ごすことができて感謝します。ありがとうございました!!【三文日記】ベッドのヘッドボードの裏に、白い粉が付着したようにカビが生えていることに気づきました!妻が慌てて拭き取っていましたが、もしかしたら底板のほうもやられているのかも知れません・・・。夜中に妻がゲホゲホ咳き込んでいたのは、そのせいだったのでしょうか?●今日の天気晴れ。●今日の運動ジョギング30分。