埋炭(まいたん)、撒き炭 その2
埋炭が初めて行なわれたのは、平安時代に遡るといわれています。当時の埋炭は、(図7)全体に敷き詰めた状態に土を被せ層を作る方式です。工法に関する詳細の記述は今のところありませんが、発掘や(国宝の)改修の際に解った事は、土の層が建立されている寺院などの面積全体に1つの層を成している事。その層の深度は、おおよそ100~120cm 程度であることです。炭の厚みは、20~50cmだそうです。ですから、現代の埋炭の深度や施工を行なう理由は、古代からの知恵に沿った方法といえるのです。現在の工法が主流になったのは、せいぜいでここ10年未満です。それまでにも行なったいた業者もありますが、確定したものではありませんでした。2000年頃、この工法を聞き知り、埼玉県の専門機関を巻き込んで、ある実験をしました。旧来の埋炭、現代の埋炭、撒き炭を複数の種類の炭を用いて同じ条件下においての差をそれぞれみるという簡単なものです。使用した炭は、当社が取り扱っている竹炭の他、国内外の竹炭と備長炭 針葉樹系と広葉樹系の2種、薬用炭の8種類です。同じ状況下でのミニスケールを作成し、サンシャイン・ウェザーメーターなどを使い様々な対比較をしました。その結果、最も効果が良かったのは、工法では旧来の全面埋炭、続いて撒き炭、最後が現在の埋炭でした。試験結果では、現在の埋炭では、周囲 約 30平方メートル (9坪相当)をカバーできるという事でしたが、実際の試験では、最大でも約半分にあたる 約 15平方メートル (4.5坪相当)でした。同工法での効力の及ぶ範囲の平均は、約 6~8平方メートル(1.8~2.5坪相当)です。約 15平方メートル の効力範囲を引き出すには、2種類の形状を組み合わせるなど、応用が必要となりました。また有効期間としましても、磁力調整の面では80年、湿度調整では40年という結果が出ました。全面埋炭では、磁力調整の面では200年以上、湿度調整でも200年以上、撒き炭では、磁力調整の面では100年、湿度調整では130年以上という結果でした。ですから、全面埋設を施すか、撒き炭+屋内の敷き炭を併用した方が、現行法の埋炭を施工するよりも効果は高いといえるのではないでしょうか。伝道性能を利用するのには、限りがあるといえます。同じような実験として、底の深いプランターを用意しそれぞれの土中が見えるように改造を施して、同じ植物を植えました。植物の発育、雑草の発生状況、表面の温度と土中の温度と外気温の関係の比較を行なうことが目的です。こちらの実験は、1年間で行ったため大きな差は出ませんでしたが、それでも現行法のミニチュア版では、花の育成や雑草の生え具合に若干のムラが出ました。撒き炭は、埋炭に比べて冬の地表温度が1度程度高め(炭使用なしよりも 2~3度高め)、夏場の温度は、埋炭よりも1度低め(炭使用なしよりも 3~5度低め)という結果でした。撒き炭は、すでに家が建ってしまっている場合には、屋内の敷き炭と併用するか、もしくは母屋の周囲に厚みを持たせて全面敷き炭と同じ量を撒く方法があります。埋炭は、本当にいいのか? ・・・・現代式が良いかどうかは解りませんが、マイナスになることは無いと思います。ただし、埋炭専用という商品がありますが、形状の異なる炭をミックスする方がより良い効果が求められます。ただし、炭が悪ければ、その分 効果も減少することは予めご了承ください。コスト優先で考えれば、撒き炭の方が安価で終わると思います。もっとも安価で済ませる場合、自分で材料だけ調達し撒布すれば済むからです。撒き炭の撒布の方法をご紹介。材料は、粉末と粒状の2種類 と 竹酢液を用意してください。先ず、竹酢液を10~20倍程度に薄め、大きめの容器に入れます。その中に、粒状の竹炭を全体が浸かるように入れてください。竹炭が入っている袋がビニール袋でしたら、破れていないかを確認し、その中へ薄めた竹酢液を入れて頂いても構いません。出来れば半日~1日程度、時間がない場合でも3~4時間程度は漬けてください。その後、竹炭を取り出して、天日乾燥させてください。初期に強い燻製臭が残りますが、気にならないという方は、乾燥を省いて頂いても構いません。次に、地表に散水します。そして散水後、直ぐに粉末状の竹炭を撒いてください。この時、地表が見えない程度の厚さで撒布ください。この時、季節によってはせっかく定着しやすいように撒いた水が乾燥してしまう場合がありますので、撒ける範囲毎に分けて作業すると良いでしょう。粉末状の炭を撒布したら、その上から粒状の炭を撒いてください。地表から3~5cm程度の厚さに撒くのが最適です。既に建っている家の周囲に行なう場合は、家の外回りに沿った部分の厚みを、2~3cm程度多目に撒いて下さい。撒き終わった後、上から軽く圧力をかけて抑え付けて上げて完了です。撒いた炭の上を、踏み歩く程度の圧力で構いません。撒いた炭の上に薄く土や砂、もしくは石などを、お好みで撒いて頂いても結構です。既に家が建っている場合、造成からの時間にもよりますが、半年から1年で、雑草の発生を抑えます。また、植物の生育の助力は、撒き炭後2週間程度、家庭菜園への効果は、半年程度で現れます。加えて、埋炭で効力が及ばない飛来のシロアリにも効果を示します。粒状の竹炭を漬けた後に残った竹酢液ですが、更に50~100倍に薄めて、ごみ置き場や家庭菜園、ガーデニングの散水などにご利用いただけます。また、撒き炭をした後に、上から散水して頂いても結構です。粒状の炭を先に竹酢液に漬けておく理由は、炭の中の優良バクテリアの繁殖を助けるためです。撒いた後に散水すると、液の大半が地面に浸透してしまい、炭の中にほとんど残りません。ですから、先に炭に染み込ませてあげると、より高い効果、より長い効果が見込めるようになるのです。埋炭、撒き炭、敷き炭など、炭を活用することで、住宅の保存を長期にすることが可能の他、シロアリやハウスシック、光熱費の削減、心身のストレスの軽減など様々なことに良い効果が見込めるようになります。初期出費では、たかが炭に・・・と思うほど、高額な出費に感じるかもしれません。しかし、入替の必要性やリフォーム時の改修、日常の光熱費からの軽減など炭を利用した効果による負担減を考えて頂ければ、決して高いものではありません。どんな炭でもというのではなく、良い炭を利用されることをお奨めいたします。竹炭は、環境にも優しく、健康生活のお役に立てる素材であることは、歴史が語ってくれているのです。