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カテゴリ:前世記憶
後編ですが、東国遠征軍の大将に担ぎ出されたイツセは、身重のエヒメはヤマトに残し、オトヒメを伴ってオワリに向かいました。
これは、サイ家が強硬に彼を東征大将に推薦したことと、彼らがまだ、彼か、オトヒメを暗殺する計画を持っているらしいことを父のハヤミ国王から警告されたからだったのですが、結果的には裏目に出ます。 オワリに向かう船中で、暗殺者がイツセを襲ったのですが、オトヒメが彼の代わりに殺されてしまったのです。 この後が大変で、イツセは、暗殺者たちを八つ裂きにして殺しますが、オワリに着いた時には、自分は何のためにオトヒメを連れて来たのか、わからなくなって腑抜けになっていました。 出迎えたオワリの長オワリノカミは、噂とかけ離れた彼の様子に、エミシに寝返ろうかと真剣に悩みました。 しかし、オワリノカミの一人娘のミヤは、彼は最愛の妃を亡くして意気消沈しているのだから、自分が代わりに彼の妻となって立ち直らせると言い出しました。 彼女もなかなかの美女でしたし、何よりも賢い娘でしたから、オワリノカミも、ヤマトを裏切るリスクの大きさを考慮して、娘に賭けてみることにしました。 ミヤは、イツセの寝所に侵入すると、裸になって彼を誘惑しました。最初は乗り気でなかったイツセでしたが、彼女に抱かれていると亡き母に抱かれているかのような気分になり、甘えることで立ち直ります。 それからの彼は、何とミヤを伴って東海地方を進攻していきますが、自ら先頭に立って強いところを突き崩して相手を敗走させることにより、敵味方双方の被害を最小限に抑える戦法で 進撃し、ツクバまで進んだところで、彼のやり方に感心したニギハヤヒ、エミシ連合軍と講和を結んで引き上げることになりました。 ハヤミ国王にしても、スルガまで行けば上出来と思っていたところを、ツクバまで行ってしまったわけで、文句はありませんでしたから、息子の快進撃を労って呼び戻すことにしました。 しかし実態は、大将のイソタケルことイツセが、スルガでオワリに返したミヤに、一刻も早く会いたかったために少し余計に進撃して講和を急いだものだったのです。 ミヤは、国王ハヤミからの返事が届く前に帰ってきたイツセに呆れましたが、寝物語にオトヒメの死の真相と、義母との確執、弟を殺した真相を聞いて、愕然としました。 しかし、ミヤは大変機転が利いたので、イツセがヤマトに戻って義母の勢力と政争に巻き込まれるよりも、むしろこのままどこかに逃げてしまいたいと望んでいることを知ると、自分も彼についていこうと算段を整えます。 彼女は、夫の腹心の将軍アサヒコが、サイの従兄弟であり、内通者であるとにらんだので、夫とともに彼を呼び出して、今後について相談しました。 アサヒコは、内通はしていたものの、まさか自分も密かに恋していたオトヒメが殺されるとは思っていませんでしたので、正直に内通者であったこと、イツセが無事に戻ってくれば、イブキで地元の豪族イノカミと呼応して、彼を謀反人として暗殺するてはずになっていることを白状しましたから、夫とともに殺されたことにして消えることにしたいと申し出ました。 アサヒコはイツセの意思も確かめて驚きましたが、自分も政争に巻き込まれることに嫌気がさしていたところだったので、イブキの近くまで戻ったところで、イツセの髪の毛を切ってイノカミに渡し、彼が暗殺されたが、実際は謀反人ではなく、サイ王妃の陰謀であったことを伝えました。 イブキは、ヤマトと同盟していたものの、ほぼ独立した勢力であり、長のイノカミは、剛勇無双の勇者でもあったため、ヤマトの勇者イソタケルが陰謀に倒れたことに悲憤慷慨し、自分の軍勢にイツセの軍勢を加えてヤマトに急行し、ハヤミ国王に事情を伝えてサイ家を急襲、王妃を自殺に追い込み、加担した一味を粛清しました。 ハヤミ国王も、息子の死を悲しみ、彼とエヒメとの間に生まれた王子ミトシを皇太子に指名しましたが、アサヒコは、これまでの経緯を国王に報告した後、イツセ亡き後自分は誰にも仕える気にならないので、どこかに隠棲したいと許可を得て、イノカミの伝もあって、タンゴのカヤに行くことにしました。 それに下人の夫婦として同行したのが、なんとイツセとミヤだったのです。 しかしミヤは、オワリノカミの一人娘であったため、自分は夫ともに死ぬが、自分亡き後ミヤとして扱うように書いた書状を、遠縁で自分によく似た美女のミズヤに持たせてオワリに返しました。そして、ミズヤがオワリノカミの後を継ぐことになります。 カヤに移った二人は、アサヒコを尋ねてくる人がいることを考え、ニギハヤヒの本拠ツガルを訪ねることにしました。 イツセの超人的な進撃と、ツクバでの講和を聞いていたニギハヤヒの首領オオヒコは、同族のイスミの息子だし、殺されたと聞いて惜しく思っていたところ、その彼が生きていて訪ねてきたことを大変喜び、大切な客人として歓待しました。 ツガルはヤマトと違い、いくつかの民族がそれぞれの風俗習慣を守って暮らしていることに、二人は感心しましたが、彼らと協力しつつ、その後20数年にわたって暮らし、2男3女の子供たちを育てました。 当時のツガルは、近くの湖に冬になると数千羽(もしかした数万羽いたのかもしれません)の白鳥が渡ってきており、それらの白鳥たちが一斉に北に帰って行くさまは壮観でした。 オオヒコは彼らに、白鳥は亡くなった人々の魂を受け取って常世の国に連れて行くために渡っていくのだと言い伝えられていることを教えてくれました。 子供たちが全員独立し、オオヒコが亡くなった後、二人はカヤに戻りましたが、アサヒコが当地の女性と結婚し、長になっていました。 アサヒコは、いろいろな経験を積んできたイツセこそ長にふさわしいと地位を譲ろうとしましたが、彼は応じず、彼に協力して余生を送ることにしました。 イツセが死んだ時、アサヒコは、彼の身分にふさわしい墓を築いて葬り、その後ミヤは、カヤの北の海沿いで死ぬまで暮らし、死んだ後夫と合葬されました。 この記憶、かなり信憑性があるのは、カヤの近くのこの辺にそのお墓があるはずだと十数年前から考えていたら、数年前にその記憶どおりに古墳が発見されたのです。 ですから、私はその古墳はイツセノミコのものと考えています。 また、京都の宮津ですが、位置的に一致しますから、ミヤが暮らしていた港町であるとの解釈もできるのです。 荒唐無稽なこのエピソードですが、本当はそれだけで、中編小説になるぐらいの長さがあるものですので、今回は、その要約を伝えるに止めます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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はじめまして。
日本武尊のことを調べていて、この10年以上前に書かれた記事を知りました。 大変興味深く拝見しました。 イツセノミコは、紀記のヤマトタケルのモデルっぽいですね。 ヤマトタケルの道のりや同行者なども知りたいので、イツセノミコの詳細もぜひ拝読したいです! ご検討いただければ、幸いです💛 (Sep 20, 2019 03:50:35 PM)
YOKOさんへ
興味を持っていただけたことは嬉しいのですが、老化のせいで、以前は恐らく前世記憶と思われるこれらの記憶を毎晩のように夢に見たのですが、この数年見ることができなくなりました。ですから、詳細なものとは言えませんが、ブログのどこかに、ヤマトタケル異聞として書いたものが残っていると思いますので、それを参照していただきたいと思います。なかったら、クローンブログのアメーバブログにあると思いますので、お探しください。それでもみつからなければ、ご一報ください。原稿は残っていますので、もう一度掲載します。私個人的には、このヤマトタケル異聞編と、ギルガメッシュ神話の異聞編がお気に入りです。 (Sep 20, 2019 09:58:17 PM)
YOKOさんへ
既に発見されたかも知れませんが、アメーバブログのヤマトタケル異聞は、以下の二つです。 https://ameblo.jp/nyankomitora/entry-12482057366.html?frm=theme https://ameblo.jp/nyankomitora/entry-12482057369.html?frm=theme 2007年4月18日と19日二日にわたって書いたものですが、あらすじとは少し違うかもしれません。 (Sep 21, 2019 05:38:37 PM)
YOKOさんへ
アメーバブログも確認したら全く同じものでしたので、かなり長い本文がどこにあるか、調べてみますが、なければ何日間かかけて掲載することにします。 (Sep 21, 2019 05:42:37 PM)
21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに申し訳ございません。
はい、アメブロの記事も拝見しました。 興味深いタイトルに惹かれ、いくつかピックアップしていましたが、今は古い順から拝読しています。 そして、昨夜は長編がアップされていることに気が付きました。 ありがとうございます! (Sep 22, 2019 09:57:47 AM) |
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