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テーマ:放射性物質とのつきあい方(10)
カテゴリ:日常
滅茶苦茶暑い日が続きますが、那須では昨日21時過ぎに夕立があり、大分涼しくなりました。
陸前高田の松の木であほな騒動をしていますが、あれ、科学的に考えたら、燃やそうがお札にしようが、何の害もない程度の放射線であることを何故ちゃんと報道しないのでしょうか。 同様に、今騒いでいるホットスポット程度の放射線濃度では、まず何の影響も無いことを。 福島第一、確かにメルトダウンしていますが、チェルノブイリと違って原子炉の構造自体が破壊されたわけではなく、排気(ベント)時と水素爆発時にほんの一部の放射性物質が漏れ出ただけなのです。 その時たまたま風向きによって、濃度の濃い薄いが生まれることになりましたし、飯舘村や福島市あたりは比較的高い濃度が出るようになってしまったことは事実です。 しかし、今回の放射性物質、北半球の広い地域に拡散し、アメリカ西海岸にも届いて水道水から検出されていますし(アメリカは、福島第一由来と思われる放射性物質を検出したが、絶対安全なレベルであるから、飲用しても危険はないと報道しました。)、日本全国、濃い薄いの差はあれ、放射性物質自体は降っているはずです。 しかも、その濃度にしても、チェルノブイリの事故当時に日本に降った放射性物質よりも低い濃度ですし、そもそも1950年代から1960年代は、当時頻繁に行われた核実験により、日本中に継続的に放射性物質が降っていたのです。 今回その時の濃度を超えたのは、水素爆発があった日だけですから、コンスタントに放射性物質が降り注いでいた1950年代から1960年代、そしてチェルノブイリ事故当時の異常な高濃度の方がはるかに危険であったが、今はそれほど危険な状態では無いと報道すべきだったと思います。 そして、1,950年代から1,960年代にかけての期間に子供であった私のような50代半ば以上の年代の人間は、今のホットスポットどころではない高濃度の放射線環境下でちゃんと育ってきているのですから、不安ばかりあおっていないで、アメリカのように、この程度の放射線濃度は普通の生活には支障が無いと言い切って広報した方がよかったと思います。 それから、日本は、経済大国であると同時に、物作り大国なのです。 物作りには電気が必須です。 ドイツ、イタリア、スイス等の国々のように、自国では原発に反対しても、足りなくなった電気は、フランスの原発で発電されたものを買えばいいというわけには行きません。 代替エナジーなんて一朝一夕に得られるものではありません。 まして、日本ではまだ1%程度でしかない代替エナジーが、高いときは35%を占めていた原発の代わりになるはずがないことぐらい、普通に考えてもわかります。 原発止めて一番困るのは、仕事ができなくなって失業する国民なのです。 それなのに、現実的、具体的な政策なしに原発依存脱却をぶちあげた首相は、無責任としかいいようがありません。 かと言って、原発を手放しで推進するわけではありません。 開業当初から福島第一は日本一事故の多い原発でしたし、その建設や補修に携わっていた義兄は、数年前から原爆症が疑われる難病の腫瘍で入院しています。(皮肉にも、それで津波にあわずに命が助かったとも言えるのですが。) 今回図らずも暴露されたように、下請け孫請けの労働者は、身分管理だけでなく、危険性を十分知らされていなかったであろうことも想像できます。 元から、絶対安全なんてものはあり得ません。 エナジー密度の高いものほど、利用すれば効率的である反面、危険であることは自明の理です。 安全神話なんてもの自体幻想であり、信じる方が間違いだと思います。 それでも、日本の原発は、運用管理の点では世界でも最高レベルであり、今回の大震災でも、基本的な構造自体は損傷することなく緊急停止までは問題なく行われたわけで、その時点までは賞賛すべきものだったと思います。 要は、その後の危機管理に欠陥があっただけなのです。 私、妻の実家が福島の原発で全村避難になった村のため、震災以降一時避難民を受け入れたり、福島とも何度も往復してきました。 すると、菅首相が来ないでくれと断ったにもかかわらず、物見遊山的に視察に来たからその間対応が遅れて爆発したとの意見を多く聞きました。 まあ、首相が来たから爆発した、は極論ですが、大事な局面で3時間程度足を引っ張ったことは事実なので、当たらずといえども遠からずの側面もあるのだろうと思います。 ちなみに、避難場所の会津の体育館を訪れた首相を引き留めて文句を言ったところが、全国に何度も放映された人は、妻の同郷でした。 同様に、原発が悪いという理論も極論です。 あくまでも原因は大震災であり、災害にどの程度まで備えるかは、効率の問題でもありますから一概に決めつけられるものではありません。 1千年に一度の災害に備えることは、確かに無駄とも言えますし、事実事業仕訳では90年に一度の水害に備えるダムですら無駄だと決めつけています。 今回の大津波で、無駄遣いだ気違いだと言われつつ高さ15メートルの巨大な防潮堤を作った以前の町長が、その防潮堤が見事に津波を防いだことによって再評価されることになった町もあれば、高さ10メートルで万全と言っていた防潮堤を、津波が乗り越えただけでなく、防潮堤自体が流されて崩壊し、巨額の無駄遣いであったと言わざるを得なくなった町もありました。 一昔前のゴルゴ13のエピソードに、原発事故の際に彼に配管を狙撃させて危機を脱するというものがありました。 当初隠蔽しようと画策していた政府担当者は、命をかけて収拾した担当者(実は、ゴルゴ13を目撃したため、自分の命を代償に、彼に配管を狙撃させた。)の勇気に感じ、事故を公表し、彼を称えます。 しかし、原発を無くしたらエナジー確保に支障を来すし、当時も(現在も)代替エナジーは非現実的でしたから、今後どうすべきかはわからないと正直に答えます。 これこそ、現在の我々の状況を既に代弁していたと思います。 菅首相も、ゴルゴ13の政府担当者のように、今後どうすべきか、私にはわからないと正直に言えばよいのに、勝手に現実の裏付けの無い個人的見解を連発するから、与党内だけでなく政治を混乱させたのです。 報道も、あくまでも正確に、誤った世論にながされたり、いたずらに不安を煽ったりすることのないようにこころがけてもらいたいと思います。 画像は子猫の寝姿です。 母猫とともに無人の村で約1ヶ月を過ごした彼らですが、恐らく二度と村に帰ることはないでしょう。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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