アトピーとフードの関係/日本テリア子犬/行方不明犬
日本テリア子犬ちゃんが家族を求めています。3月29日生まれの男の子で、黒い頭部と白いボディーが魅力的な可愛い子です。性格はおっとりさんで、飼い易い子、とのパパママのお話です。年間50頭前後しか生まれない日本原産種犬にご興味のある方はこちら(子犬の写真もあります)、またはこのブログのメール欄(ホーム頁の左上方)どちらからでもご連絡ください。横浜で5月18日から行方不明になっているノーフォークテリアのバンビくんの記事はこちらです。まだ見つかっていないようです。バンビ君早く帰っておいで~!犬猫の世界でもアトピー性皮膚炎はもはや常識!???モアナ母ちゃん的にはちょっと不思議です。だって、わが家の先代犬(柴)の頃には(ってかーなり昔だけどさ)聞いたことなかった。まあ、もしかしたら発症数が少なくて知られていなかっただけ?なのかも知れないけど。でもな~、今もわが家の日テリーズにはそんな兆候はま~ったく見られないし。。。そして、ただ今家族を募集中の日本テリアの男の子も、飼い方によってはおそらく皮膚トラブルとのご縁も薄くなるだろうなあ、と思う。こういう子犬ちゃんを迎えられるチャンスに巡り会う方、ラッキーですよね。んんん?なんじゃ、新手の宣伝文句かぁ???いえいえ、とーんでもない。獣医学の研究で、アトピー性疾患とペット用食餌の関連を調べた二つの論文が、この日テリ坊やの健康をかなり高い確率で保証してくれそうなんです。その研究とは1)子犬のアトピー発症と母犬の食餌の関係についての研究 Vet Dermatol. October 2007;18(5):309-152)プレミアムドッグフード(ドライ)のダニ汚染の可能性の調査 Vet Dermatol. May 2008;0(0):(1)の研究は、アトピー好発犬種(ボクサー、ブルテリア、ウエストハイランドホワイトテリア)であっても、授乳中の母犬に市販のドッグフード以外の食餌、即ち手作りご飯を与えた場合、子犬のアトピー発症率が半減したことを報告しています。(2)の研究は、アトピーのアレルゲンの可能性を指摘されるダニが、実はドライフードの中に混入している可能性(開封直後&室温保管の環境)を指摘しています。この二つの研究調査が示唆しているのは、手作りご飯を食べている母犬に育てられた子犬はアトピー発症の危険因子を回避できそう、という手作りご飯の大きなメリットです。そして、今家族を求めている日本テリア君の両親犬は、実は手作りご飯育ちなんです!そう、この日本テリア君はアトピー発症の可能性とはご縁のない食生活を送っているんですよ!!!でも、フードを与えることは今の時代避け難い、、、と悩む飼い主さんもいらっしゃることでしょうから(うちだって、繁忙期は与えます。それに災害時はフードに頼らざるを得ません)、(1)と(2)の研究をフードを与える視点から考えると、、、妊娠出産予定の牝には、(交配後から)出産&離乳までの間は手作りご飯にする、という対応をしているブリーダーさんを探して子犬ちゃんとのご縁を求めましょう。普段はフードでも、短期間であれば手作り、というブリーダーさんは実際いらっしゃいます。ドライフードはたとえ皮膚疾患対策のものであっても(下の論文抄訳をご参照下さい)、室温で保管することは避けましょう。特に開封後は冷暗所などダニの繁殖しにくい所で保管し、短期間で食べ切るようにしましょう。ペットフード安全法が6月1日から施行されています。モアナ母ちゃん的には、と思う箇所もあるんだけど、基本的なことは押さえられている、かな?パンフレットもダウンロードできるようになっているので、関心のある方はリンクから飛んでみてください。それから、上で引用した研究論文の抄訳を転載しておきますね。下線はモアナ母ちゃんがつけました。1)■スウェーデンにおけるボクサー、ブルテリア、ウエストハイランドホワイトテリアの中で犬アトピー性皮膚炎に対するリスクファクターの症例-コントロール研究A case-control study of risk factors for canine atopic dermatitis among boxer, bullterrier and West Highland white terrier dogs in SwedenVet Dermatol. October 2007;18(5):309-15.Ane Nodtvedt, Kerstin Bergvall, Marie Sallander, Agneta Egenvall, Ulf Emanuelson, Ake Hedhammarボクサー、ブルテリア、ウエストハイランドホワイトテリアのハイリスク犬種における犬アトピー性皮膚炎(CAD)の発症に対する環境および食餌性リスクファクターを症例-コントロール研究で評価した。スウェーデンにおける12施設からの58症例と犬種、生年月日がマッチした61頭の非罹患犬において、それらの相関重要性を評価するのにロジスティック回帰モデルを使用した。最終モデルは、同じ所からの犬が独立していると考えられなかったとき、'examining veterinarian'と呼ばれる確率的誤差を含めた。CAD発症のオッズに対し、性別、生まれた季節、環境、ワクチン、寄生虫駆除の影響は見られなかった。主な所見は、母犬授乳中に非市販製品を含む食餌を与えることが、その子犬におけるCADの発症に保護作用をもたらすということだった。CAD発症のオッズは、ホームメード/非市販食を与えなかった雌犬の子犬で二倍高かった(オッズ比の95%信頼区間(CI):1.2-3.8)。授乳中の雌犬にホームメード食を与えなかった割合の集団は、0.4(95%CI:0.04-0.63)だった。CAD発症における食餌の潜在的保護作用の所見をさらに支持する無作為コントロール臨床試験が必要である。(Sato訳)2)■市販のドライのドックフードの貯蔵庫ダニ汚染の評価Evaluation of storage mite contamination of commercial dry dog foodVet Dermatol. May 2008;0(0):.Pilar Brazis, Montserrat Serra, Alex Selles, Fabienne Dethioux, Vincent Biourge, Anna Puigdemont貯蔵庫ダニは、アトピー性皮膚炎の犬における重要なアレルゲンと考えられるかもしれない。Tyrophagus、Acarus、 Lepidoglyphus種に対する高感作率がアトピー犬で報告されており、ドライのペットフードは、貯蔵庫ダニ暴露の源である可能性が示唆されている。この研究の目的は、市販ドライフードの貯蔵庫ダニ汚染、および貯蔵時間やその状況が汚染のリスクにどのように影響しえるのかを評価することだった。皮膚疾患のために作られた10種類の異なる市販プレミアムのドライドックフードを選択した。袋を開封し、2つの異なる環境下で6週間保管した。異なるタイムポイントで各袋からサンプルをとり、顕微鏡、グアニン試験、貯蔵庫ダニ特異トラップ、修正浮遊法により分析した。開封時、Acarus siroと同定した2匹の貯蔵庫ダニが浮遊法により10種の袋のうち1つから分離され、貯蔵庫ダニがドライのドライフードの袋をパックしたときに存在しえることを示した。ダニ生育に適した環境下(摂氏23.2±2.1度、相対湿度71±5.6%)で5週間貯蔵した後、10種類の餌うち9種類からダニが顕微鏡で検出された。ダニが浮遊法で認められたとき、最も認められた汚染種はTyrophagus spp.だった。それらの結果は、ドライのドッグフードが貯蔵庫ダニ生育に適した培地となりえ、環境と保管状況が食物汚染およびダニ発生に影響するかもしれないことを示す。(Sato訳)