映画「ザ・フューチャー・オブ・フード」は絶対観るべき
ツール・ド・フランス、今日は恐怖のラルプドゥェズ山岳タイムトライアルということで、がんばって朝起き出してライブ中継で観る。といっても、半分居眠りしながらで、隣で観てた相棒に「寝言がうるさい」と怒られたけど。。さすがに、最後の6人くらいになってからは、しっかり目を覚まして観る。ヤン・ウルリックが持ち前の重機関車ぶりを発揮して最高タイムをたたき出したときは嬉しかった。みんな着けているイヤホン(チーム監督からの指示や他選手の状況報告など用)さえ着けず、ときには近寄りすぎて煩いくらいの沿道の観客に目もくれず、ひたすら距離と時間との孤独な戦いに集中して黙々とペダルを踏みしめる姿。やっぱり彼には優勝争いに絡んでほしいから。とはいえ、結局、最終走者のランス・アームストロングが、2位のヤンのタイムを1分も短縮しての、堂々の優勝。2分前に発車した総合2位のイヴァン・バッソを途中で追い抜く圧倒的な速さ。チームで強いのは重要だけど、やっぱり独りで強いのが真の王者だと思う。もうやっぱり今年も彼しかいない、って感じ。番狂わせの事故などなければ、6度目の優勝、史上初の快挙が見えてきた・・かも。夜、サンフランシスコのヤーバ・ブエナ・センター・オブ・アーツに映画「ザ・フューチャー・オブ・フード」を観にいく。遺伝子組み換え作物の人体と地球環境に対する悪影響に警鐘を鳴らすドキュメンタリー映画。遺伝子組み換え作物(英語ではGMOと略称する)の人体への未知の危険性については以前から認識していたけど、環境への悪影響がこんなに恐ろしいなんて目を開かされた。近所の畑に植えられたり八百屋で売られたりしている遺伝子組み換え作物が、風に乗り流通網に乗り、ひたひたと自然な遺伝子を持つ作物を汚染するなんて考えただけでも恐ろしいことが今現実に起こっている。そして望まない異物に汚染されただけでも災難なのに、遺伝子組み換え作物の知的所有権を持つ大企業に訴えられて農家の50年間の汗の結晶が失われる(カナダのパーシー・シュマイザーさん他の実例)。人類が何千年もかけて作り上げてきた農業が寡数の大企業に乗っ取られる。自然が何万年もかけて作り上げてきた多様な植物の品種が寡数の遺伝子組み換え植物に置き換えられる・・。遺伝子組み換え作物が絶対悪というのではなく(医薬品などに多大な貢献してるのは知ってる)、遺伝子組み換え作物を制限なく野に放つのが悪。消費者や農家に遺伝子組み換え作物以外の選択肢を事実上与えないのが悪。「食べ物を食べる人なら必ず観なければならない映画」というどこかの評の通り。上映会には映画制作者のデボラ・クーンズ・ガルシアさん他の製作スタッフも来ていて、質疑応答も大変盛り上がった。日本やブルガリアなど、他国からも問い合わせが来ているという。日本でもぜひ公開(またはテレビ放映でも)して欲しいと思う。一般向けにはオンライン販売もするという。最近、メッセージ性の強いドキュメンタリー映画(「ザ・コーポレーション」「華氏911」「ザ・フューチャー・オブ・フード」)を続けて観て思うのは、米国は寡数の大企業に牛耳られている、ということ(相棒によれば、共和党政権下では大企業の影響力が特に顕著、民主党下ではもっと影響力が制限されていたということだ)。そして大企業は利潤と拡張のためなら手段を選ばない。人の血を流しても、弱いものから搾取しても、環境を破壊しても、利潤追求に邁進する。それが資本主義かもしれないけど、今の状態は地球という資産を食い潰しているだけで、維持可能(サステイナブル)ではなく、いつか破綻をきたす。行き過ぎた利潤最優先のしくみの危険性に、ようやく米国(の一部)が気づいて、このままじゃだめだよ、と声を上げ始めている・・のだといいんだけど。