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カテゴリ:純米酒
今日は仕事で鹿児島市に来ておりまして、行きつけの居酒屋さんから日記を
書いております。 焼酎とは本当に長いお付き合いで、今日の焼酎ブームが始まって、かなりの 年月が過ぎたこともあって、既に、多くの方に語り尽くされているという思いも あって、これまで日記では触れませんでした。 しかし、今、鹿児島の地で、大好きな「百合」の25度を飲んでいるもので、 少しだけ焼酎の事をを語りたいと思います。 僕が焼酎を飲みだしてから、もう30年以上になりますので、焼酎がブレイク してからの新しい銘柄は余り知りませんが、古くから存在していた銘柄はほとんど 飲んでおります。 そういう意味でのコンプリート率は、日本酒より焼酎の方が、銘柄数が少ない 分高いと思います。 お薦めは、黙っていても何十銘柄かはありますが、僕が個人的に、今でも愛飲 しておりますのは、甑島(こしきじま)の塩田酒造さんの「百合」です。 僕の母方の叔母が甑島の出身ということもあって、愛飲歴は30年になります。 「百合」は、今では、幻の焼酎のひとつに数えられていて、銘柄によっては 手に入りにくいものもありますが、25度はそこそこ福岡でも手に入ります。 塩田酒造さんに初めてお伺いした時は、現在の社長の塩田将史氏は、まだ小学生 で、今は活躍なさっていますので、あまり昔話はしませんが、「百合」は、彼の お婆ちゃんを中心に女手だけで、丹精を込めて造られた「究極の癒しの焼酎」でした。 こういう言い方をして良いのかは分かりませんが、塩田酒造さんは本当に気の毒な くらい小さな蔵なんです。 原材料の「白さつま」という芋は、100%甑島で生産された芋で、「黒霧島」 などが出る、ずっと前から「黒麹」を使っていて、ところが、とても「黒麹」とは 思えない「穏やかで飲み手を包み込む」優しさがその味わいの中にありました。 鹿児島には、ご存知のとおり、11の酒造組合があって、塩田酒造は「川内」の 酒造組合に加盟されております。 今でこそ、鹿児島の飲み屋さんには、色々な焼酎を置いているお店が多くなり ましたが、つい10年前までは、お店には地元の酒造組合に加盟している焼酎しか 置いてありませんでした。 そういう意味では、焼酎ブームのお陰で、鹿児島市で「百合」が飲める訳ですが、 今年から「百合」は、その「味」が大きく変わりました。 塩田酒造さんが、今年、新しい味の方向に大きくハンドルを切ったからです。 六代目塩田将史社長は、自らの名を冠した「六代目百合」、「原酒風に吹かれて」、 「マイルド百合」、と次々と新しいブランドを世に送りました。 ネーミングを変えた背景のひとつには、「百合」という名前が他のお酒にあるために、 商標権の問題があったと、個人的には聞いております。 ただ僕的に大きな問題になるのは、そのネーミングではなく、新しい「百合」の 全てが、「今風の焼酎の味」になってしまったことです。 決して、僕は、経営者としての塩田社長を悪く言うつもりはありませんし、 またそういう立場にもありません。 その蔵の伝統的な「味」を守るか、新しい時代の「味」を追うのか? 善くても悪くても、全ての焼酎メーカーは、この焼酎ブームによって、「隠れキリ シタン」よろしく「踏み絵」をさせられいるからです。 そして、その命題は、日本酒の蔵元にも突き付けられておりますが・・・ いずれにしてもも、今、1本1本にナンバーが記された去年の「ただの百合原酒」を 鹿児島という焼酎の故郷で飲みながら、その「癒しの風」に触れたら、あのお婆ちゃんの 笑顔が思い出されて、全国的な焼酎ブームがもたらした「功罪」に、改めて思いを馳せ てしまって、ちょっとセンチメントな気持ちになっております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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