あり得ないことなのだけれども

今の世界が、生活が、

全部なかったとして、

　

もし、自分が結婚するなら…

どこか知らない丘か海沿いの小さな教会で、

ふたりだけで、

ひっそりと　指輪の交換をして

ステンドグラスの光に目を細めながら、

誓いのキスをしたい。

　

…なんて、想像してしまうくらい、

この曲が好き。

　

http://www.youtube.com/watch?v=vBcujRikuIk

　

　

突然の　宣告の日から

あまりに急いで、形だけを必死に造ろうともがいてきた私は、

結婚してもう2年半以上も経つのに

息子もどんどん大きくなるというのに

未だに「結婚した」という実感がなくて。

　

それは、自分から「この人だ」と、

決定的な瞬間を感じられないままに、

選択をして、それ以降の全ての台本を書いて

自分の気持ちに蓋をしたまま

演じなければならなかったから…なのかもしれなくて。

　

だからと言って、自分の過去の選択を

今更、違いましたから、と手続きを取れるような

そんな簡単な、軽いものではなくって。

　

それ以降の険しいあゆみの中から、ひとつ、ひとつを選んで

これでいいのかな　という実感を拾い集めて、

からっぽの家の中身、私の心の中を

少しずつ

埋めていく。

　

積み重ねて　本物に見えるよう魔法をかけていく。

…過去には　戻れないのだから。

　

　

それでも

冷たく、青く光るような夜だけは、

この曲を聴いて

真っ暗な先で目をとじて

耳の奥でだけ　この曲を流して眠るのを許してね。

　

　

「木漏れ日の光を集めて

　風の吹く日は手を離さないで

　

　暖かな誓いをきかせて

　病める時にもどうか守ってて

　

　ずっと　ずっと

　あなたを　ずっと

　まっていたの

　いつもね　いつもそばに居て

　いつも

　

　澄み切った　想いを届けて

　優しいことばで　わたしを満たして

　

　今日の日を　どうか覚えてて

　眠る時には　そばで笑ってて」

　

『la mariee』 strawberry record　アルバム『scintilla』より