弦楽四重奏を組むのは難しい。演奏の技量が高く音楽の趣味が合う相手を自分の他に3人探すだけなのだが、これまでの50年以上のチェロ生活で数えるほどしか完璧な組み合わせで演奏できたことはない。そういう奇跡が起きたときは大好きなベートーヴェンを選ぶ。奇跡だということを認識しており、こういう団体が長く続かないであろうことは覚悟している。必ずその時に一番演奏したい曲を選びお願いしてきた。順番に10曲などと悠長なことは言っていられない。
30年近く昔に奇跡が起きたときは、ベートーヴェンの15番Op.132、20年近く前の奇跡ではベートーヴェンのラズモフスキーの3番、1番、ハープを弾き、さらにブラームスの弦楽四重奏曲も1曲弾いた。この時は2年以上続いたのだ。
モーツァルトの10曲の後期弦楽四重奏曲を弾くプロジェクトは11年かかって完了した。第2ヴァイオリンは途中で二回代わった。完璧な組み合わせはその中の一人だけで、それで3曲できたのは幸せだった。
そういう完璧な組み合わせが実現しなくても、好きな弦楽四重奏曲は演奏した方が良い。そう思ってチャンスを捕まえていろいろな人と演奏してきたので、30曲近くあるどうしても演奏したい曲の大半は一度は演奏している。どうしても難しいのがベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲だ。これは本当に完璧な組み合わせでないと演奏できない。
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Last updated
2020.01.22 17:28:39
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