カテゴリ:読んでみた本
![]() ネットで人生、変わりましたか?
livedoor BOOKS 書評/IT・Web ![]() ![]() ITニュースサイトの記者、岡田有花さんが、IT に関わる人たちに取材した記事をまとめた本です。IT技術そのものではなく、ITと向き合う人たちの生き様が丁寧に書かれており、現代のサクセスストーリーと言えそうです。 各エピソードに登場する人たちは、年齢も性別も置かれている環境も様々です。あえて共通点を探すと『自分が楽しいとか、おもしろいとか、こだわりたいことをITで実現し』それが『多くの人から共感を得られた』という点でしょうか。同時に、一度踏み込むと避けがたい課題も透けて見えてくるのです。 心理学者マズローは人間の欲求を五段階に分類しています。生理的欲求、安全への欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求と後に行くほど、達成が困難になります。 旧来の一般企業では、例え優れたアイデアを持っていても、実現するためには、多くの手続きが必要となります。企画を立てて承認を得るまでに、時間や労力が費やされます。しかしIT についての知識と技術があれば、面倒くさいプロセスを省略し、社会に直接問うことができるわけですね。 「字幕.in」を一人で作った矢野さとるさんは、次のように言います。『新サービスは大抵深夜に思いつき、明け方までに作り上げてしまう』『あれこれ考える前に、まず作ってしまい、バグだらけでもいいから公開する』会社組織に所属していたら、こうはいきません。衝動に駆られて作り上げた作品に、何百万の人が反応する。刺激と高揚感に満ちた世界です。 この本で多く取り上げられている「はてな」という会社は、日本で成功をおさめているIT会社の一つです。高度な技術を持ったメンバーが集結しています。専門家を束ね、統率することは難しいと思います。近藤社長の人柄が優れているのでしょう。 そんな近藤社長はアメリカに移住したそうです。 『だから今、環境を変える。新しい場所で、ゼロに戻り何かを生み出す刺激と高揚感を得る』とのことです。 冒頭に記した『自分が楽しいとか、おもしろいとか、こだわりたいことをITで実現し』それが『多くの人から共感を得られた』そして『成功をおさめた』人たち。 その後に何があるのでしょうか。近藤社長は環境を変えることを選びました。前述の矢野氏は、いくつかの企業で活躍したあと無職になったそうです。マズローの言う自己実現の欲求が満たされた後、何を自分の動機付けとしていくのか、ネット社会を生きるうえでの避けられない課題と思います。 ![]() ↑応援よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年06月27日 15時44分02秒
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