カテゴリ:環境
連れてきて頂いたのは、「昔ながらの生活を守るNPO」が復活させた、300年前の水車小屋。
![]() ![]() 実はこの建物、1951年まで実際に稼動していたそうで、それから20年間放置されていたものを、1975年くらいから修復を開始し、2001年から粉引きを行えるようになったそうです。 ----- 製造するのはクルミオイル。 まずは、クルミを、細かく砕きます。 「ひき臼」の形式ではなく、巨大な重い石の車輪で轢割る感じです。 ![]() そこから、今度は、別の臼に移して、温度と圧力をかけて、オイルを搾りやすくします。 ![]() そして最後に、じっくりと圧力をかけながら、オイルを搾り出します。 ![]() 水車の回転力を、梃子の原理を応用して、じっくりと伝え、強く油を搾り出すわけですね。 ----- ![]() それにしても、すごい歯車の技術。 これは、さすが、南ドイツ、時計街道の近く、と言っても良いのかな? 全体の歯車の駆動は、歯車に直接働きかけるのではなく、水路の板を遠隔操作して、水の流れを止め、水車を停止することで行います。 ![]() ![]() うん。 この方が確かに、歯車への負担が軽減できる。 個々の駆動についても、それぞれ簡単な上下運動で歯車が噛みあうようになっていて、感心させられます。 ----- 現在の機械搾りの場合、かけられる温度と圧力は、80℃で200t。 この方式だと、50℃で16t。 1lのオイルを抽出するのに、2.5kgのクルミを使用するのだそうです。 で、じっくり抽出している分、コクのある、美味しいオイルが取れるのだとか。 なるほどね。 ===== 日本の場合、水車の利用としては、単純な上下運動に利用して、米を砕いたり、ということが多かったようです。 一番多く使われていたのは、川の水を、低いところから高いところに上げる、揚水機として。 そのこともあって、水車の形式も、上から掛け流すのではなく、水車の下の部分を水に浸す方式がメインだったとのこと。 ここのは中間式ですかね? ----- 日本の場合、オイルを搾るに当たっては、人力で、というと語弊がありますけど、楔を打って圧力をかける方式が主に使われていたようです。 菜種、櫨などから、灯り用の油分を取るのが主目的。 食用として、ごま油の製造については、昔テレビで見たことはありますが、江戸時代の方式ではないだろうから…。 あ。和三盆を作る時にも、大変な圧力がかけられますが、あれも梃子の原理を応用した、人力に近い形。水力は利用してないですね。 ![]() ----- 水の使用については、農業面からも、治水面からも、水資源の利用について、厳しい制限があったと思われ、そこらへんが、日本で水力のエネルギー利用が進まなかった理由かな、と考えています。 米作りには、大量の水資源を必要としますし、政策としては、そちらが優先されていたでしょうから。 ===== ![]() ![]() そして、こちらは天然のクーラーです。 下の水をかけ流しにして、冷暗所をその上に作っています。 確かに。この方法は、水が豊富であれば、簡単に出来るクーラーになります。 西瓜を井戸水で冷やすのと違い、水を冷暗所の下をかけ流しにすることで、モノを直接水につけないのがポイント。 すごい知恵だなぁ。 ===== 伝統文化を復活させ、昔の生活を体験させるようにする、というのは、非常に重要なことです。 なぜなら、伝統文化には、その地域・風土に即した知恵がいっぱい詰まっているのですから。 ----- 所与の条件は変わっているわけですから、「昔の生活に戻れ」なんてことを言う気はありませんが、そこから今でも学べる知恵はあるはずです。 例えば「打ち水」。 例えば「もったいない」。 例えば「風呂敷」。 ----- 私が日本で普段着遣いで着物を着てみせる理由の一つも、「伝統文化を大切にする」という自己主張。 なお、日本の、特に江戸時代の知恵・工夫については、石川英輔先生の「大江戸事情」シリーズに詳しいです。 てか、今回の江戸時代のネタは、これらを参照しています。 ![]() ![]() ![]() ![]() さて、今、日本で、伝統文化の継承を「戦略的に」行えている街が、どれほどあるのか。 山鳩の主人が、有志で、地元の古老から、昔の生活の聞き取りをしている、という話をされてましたけど、こういう活動は、本当に大切だと思います。 さてと、翻って、私は…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 30, 2006 06:43:43 PM
コメント(0) | コメントを書く
[環境] カテゴリの最新記事
|
|